「流浪の月」下半身の真相は？病気・撮影の謎をネタバレ解説

流浪の月 (創元文芸文庫)

映画「流浪の月」で特に議論を呼んだ下半身のシーンについて、詳しく知りたいと思っていませんか。映画のあらすじや映画の評価はもちろん、文が抱える病気や、巷で噂されるマイクロペニスの描写が本物なのか、それとも特殊メイクなのか、気になっている方も多いでしょう。衝撃的な描写をどうやって撮影したのか、その写真はあるのか、そして多部未華子が演じた役柄の重要性まで、この記事で多くの人が抱く疑問を徹底的に解説していきます。

映画「流浪の月」下半身の描写と物語の核心

まずは映画のあらすじをチェック

映画『流浪の月』は、2020年の本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんのベストセラー小説を原作とし、『悪人』や『怒り』で知られる李相日監督がメガホンをとった作品です。

物語は、9歳の少女・家内更紗（かない さらさ）が、雨の公園で孤独な大学生・佐伯文（さえき ふみ）と出会うところから始まります。更紗は家庭内で伯母から性的虐待を受けており、自分の居場所を見つけられずにいました。一方、文もまた誰にも理解されない秘密を抱えて生きています。二人は互いに心を通わせ、文の部屋で穏やかな日々を過ごしますが、世間はこの関係を「女児誘拐事件」と断定。文は「誘拐犯」、更紗は「被害女児」というレッテルを貼られ、無慈悲に引き離されてしまいます。

それから15年後。偶然の再会を果たした二人を中心に、彼らの過去を知る人々や現在の恋人たちの思惑が絡み合い、運命の歯車が再び大きく動き出します。世間が作り上げた「事実」と、当事者しか知らない「真実」との間で揺れ動く、切なくも美しい物語が描かれています。

世間の映画の評価とリアルな感想

『流浪の月』は、その衝撃的な内容から、公開後、観客の間で賛否両論を巻き起こしました。ここでは、実際に映画を鑑賞した人々の評価や感想を多角的に見ていきましょう。

まず肯定的な意見としては、「俳優陣の演技が凄まじい」「映像美に引き込まれた」「当事者にしか分からない感情が描かれていて胸が締め付けられた」といった声が多く見られました。特に、主演の広瀬すずさんと松坂桃李さんの、セリフ以上に雄弁な表情や佇まいの演技は、多くの観客の心を打ちました。また、『パラサイト 半地下の家族』で知られるホン・ギョンピョ撮影監督による映像は、物語の殺伐とした空気感とは対照的に、息をのむほど美しく、作品に深い奥行きを与えています。

一方で、否定的な意見や戸惑いの声も少なくありません。「物語に感情移入できなかった」「ロリコンを美化しているように感じて不快だった」といった感想です。また、作中のいくつかの描写が、映倫G（全年齢対象）に指定されたことへの疑問を呈する声も多く上がりました。これは、映画が扱うテーマのデリケートさと、社会の倫理観との間に生まれた溝を示していると言えるでしょう。

多部未華子の演技と役の重要性

本作において、主要キャストの一人である多部未華子さんは、文の現在の恋人であり、看護師の「谷あゆみ」という役を演じています。

谷は、文が抱える心の闇や秘密に気づきながらも、その核心に触れることができず、焦燥感を募らせていく複雑な役どころです。彼女の出番は決して多くはありません。しかし、愛する人の本当の心を理解できない苦しみや、彼を救いたいと願う純粋な愛情を、繊細な演技で見事に表現しています。

李相日監督は、親しみやすいイメージを持つ多部さんだからこそ、この役の持つ「焦燥感」をどう表現するかに期待していたと語っています。彼女の存在は、文と更紗の特異な関係性を際立たせると同時に、「普通」の恋愛の枠組みの中にいる人物の視点を観客に提示する重要な役割を担っているのです。

実は原作小説には、谷が乳房切除の手術を受けているという設定がありました。これも一種の「欠落」を象徴する要素でしたが、映画では削除されています。これは、文の秘密と対比させるために、更紗の恋人・亮（横浜流星）のDVなどの性的な側面をより強調する意図があった可能性が指摘されています。

物語の鍵となる衝撃的なシーン解説

映画『流浪の月』で最も観客に衝撃を与え、議論を呼んだのが、クライマックスで文が更紗に自身の体をさらけ出すシーンです。

このシーンは、15年ぶりに再会した二人が、再び世間の目に追われる中で、文が隠し続けてきた最大の秘密を告白する場面です。彼は涙ながらに「いつまで経っても、俺だけ大人になれない」と叫び、震える手で自身のパンツを下ろします。この描写は、原作小説にはない映画オリジナルの表現であり、松坂桃李さんが文字通り体を張って演じきったことで、映画のハイライトの一つとして評価されています。

暗がりの中、シルエットとして映し出される彼の体は、直接的な描写を避けながらも、彼が抱える「未発達」という真実を観客に強烈に突きつけます。これは、彼が世間から貼られた「ロリコン」「誘拐犯」というレッテルがいかに表層的なものであるか、そして彼の苦悩の根源がどこにあるのかを視覚的に、そして決定的に示すための重要な演出なのです。

文を苦しめる「第二次性徴が来ない病気」

映画の中では具体的に説明されませんが、原作小説において文は「第二次性徴が来ない病気」を抱えていると記述されています。この身体的特徴が、彼の人生と更紗との関係に大きな影響を与えています。

医学的に、第二次性徴が正常に発現しない状態は「性腺機能低下症」などと呼ばれ、男性ホルモンの分泌不全が原因で起こることがあるとされています。このような状態に関連する可能性がある病名として、いくつかの情報源では以下のようなものが挙げられています。

• クラインフェルター症候群：男性がX染色体を一つ多く持つことで起こる染色体異常症。
• カルマン症候群：嗅覚の異常を伴う性腺機能低下症。
• 小陰茎症（マイクロペニス）：ホルモン異常などが原因で、陰茎が標準的なサイズよりも著しく小さい状態。

これらの病気では、声変わりがしない、体毛が薄い、高身長で手足が長いといった身体的特徴や、生殖器が未発達なままといった症状が見られることがあるようです。

本記事で記載している病名や症状は、あくまで作中の描写から推測される一般情報です。医学的な診断や専門的な解説ではありません。正確な情報については、必ず専門の医療機関にご相談ください。

（参照：MSDマニュアル家庭版）

マイクロペニスとの関連性について

前述の通り、文が抱える病気の一つとして「小陰茎症（マイクロペニス）」の可能性が考えられます。これは、彼の「大人になれない体」という苦悩を象徴する、非常に重要な要素です。

文は自身の体を「ハズレ」と表現し、この身体的な特徴のために「誰とも繋がれない」という深い劣等感と孤独感を抱えています。彼が性的な意味合いを持たない幼い女の子に救いを求めるのは、自身が経験できなかった純粋な子供時代への憧れや、愛されなかった過去の自分を救済したいという無意識の願いが根底にあると解釈できます。

彼の体が「未発達」であるという事実は、彼が更紗に対して抱く感情が、世間が言うような性的な欲望ではないことを示す、何よりの証拠となります。つまり、彼の身体的な「欠落」こそが、二人の関係の純粋性を担保するメタファーとして機能しているのです。

「流浪の月」下半身の撮影裏側と写真の有無

衝撃の場面はどうやって撮影した？

多くの観客が息をのんだ文の告白シーン。このセンシティブな場面は、どのようにして撮影されたのでしょうか。

このシーンの撮影には、『パラサイト 半地下の家族』で世界的に有名になった撮影監督のホン・ギョンピョ氏が参加しています。李相日監督は、作品の根底にある殺伐とした感情を描くからこそ、逆に「映像的な美しさ」が必要だと考え、彼にオファーしたと語っています。

脚本の段階から、文の全身を「シルエット的」に撮るというアイデアがあったそうです。ホン監督は、より神秘的で美しい光を捉えるため、夜ではなく昼間に、部屋のカーテンを閉め切って撮影することを提案。ぼやけた薄暗い青い光の中で撮影されたこのシーンは、直接的な露骨さを避けつつ、観客の想像力に訴えかけることで、より深く、そして芸術的な印象を残すことに成功しました。

あの描写は特殊メイクだったのか？

文の未発達な性器の描写について、「特殊メイクが使われたのではないか？」という疑問を持つ方は多いようです。

結論から言うと、この描写に特殊メイクやCGが使用されたかについて、公式な発表は一切ありません。そのため、断定的なことは言えませんが、いくつかの情報から推測することは可能です。

松坂桃李さんはこの役を演じるにあたり、大幅な減量を行い、インタビューでは役の「奥行」を出すために「植物っぽい感じ」のシルエットを目指したと語っています。この徹底した役作りと、前述したシルエットによる撮影技法、そして巧みな照明効果を組み合わせることで、特殊な造形物を使わずに、俳優の身体表現と映像技術だけで「未発達」な印象を観客に与えた可能性は十分に考えられます。

松坂桃李は本物？という噂の真相

特殊メイク説と並んで、「松坂桃李さん本人の体ではないか？」という噂も根強くあります。しかし、これもまた憶測の域を出ません。

この問いに対する明確な答えは、公には存在しません。俳優の身体に関する情報は非常にプライベートなものであり、制作側がそれを公表することは考えにくいでしょう。重要なのは、それが本物か特殊メイクかという事実そのものではなく、松坂桃李という俳優が、この難役を引き受け、心身ともに削りながら「佐伯文」というキャラクターをスクリーン上で生きた、という事実です。

彼は、湖での早朝撮影では「本当に死ぬかもしれない」と感じるほど過酷な状況にも耐え、文の肉体的な特徴だけでなく、その内面的な孤独や脆さを見事に体現しました。観客が議論するこのシーンは、彼の役者魂の結晶であり、作品のテーマを伝える上で必要不可欠な表現だったと言えます。

私たちは、憶測で俳優のプライバシーを侵害するのではなく、その卓越した演技と作品に込められたメッセージにこそ、敬意を払うべきでしょう。

検索される文の体の写真は存在する？

「流浪の月 下半身 写真」といったキーワードで検索する方がいますが、映画のワンシーンを切り取った画像は存在するのでしょうか。

結論として、公式にリリースされている宣伝用の写真や場面写真の中に、文の裸体をはっきりと写したものは存在しません。映画本編においても、前述の通り、シルエットや暗い照明の中で暗示的に描写されているのみです。

インターネット上で、もしそのような画像が出回っているとすれば、それは映画の映像を違法にキャプチャーしたものである可能性が非常に高いです。これらの画像は著作権を侵害しているだけでなく、作品の芸術的な意図を歪めて伝えるものでもあります。

まとめ：流浪の月「下半身」描写の意図と原作