新宿駅南口の路上で、マイクもアンプも使わずにギターを弾いて歌うキリエ。話す声はほとんど息だけなのに、歌になると声が出る女性です。
岩井俊二の『キリエのうた』は、石巻から新宿まで13年に及ぶ物語。キリエと、彼女のマネージャーを買って出たイッコがラストでどうなるのかを、ネタバレありでたどります。
記事のポイント
- 石巻の震災から新宿の路上までのあらすじがわかる
- フェスの日にイッコとキリエに起きたことがわかる
- 夏彦とキリエの12年ぶりの再会がわかる
- 原作小説とドラマ版『路上のルカ』の関係がわかる
キリエのうたのネタバレあらすじ
ここから先は、映画『キリエのうた』のネタバレを含みます。
震災で姉と声を失ったルカは、大阪と帯広を経て、13年後の新宿で「キリエ」として路上で歌っています。そこで出会うのが、過去と名前を捨てた女性・イッコです。

石巻の震災で姉と声を失ったルカ
物語の始まりは、2011年の石巻です。震災のあと、ルカ(路花)は歌うときにしか声が出せなくなりました。
ルカの姉・希は、潮見夏彦の恋人でした。希は震災で行方が分からなくなり、夏彦は姿を消した希を捜し続けます。
映画には、地震や津波を思わせる描写があります。つらい記憶がある方は、心の準備をしてから見てください。
大阪で保護され夏彦と引き離される
震災のあと、大阪で放浪していたルカは、小学校教師の寺石風美に保護されます。
保護されたあと、ルカは夏彦と再会しました。しかし児童相談所の判断で、二人は引き離されてしまいます。
希を捜す夏彦と、姉を失ったルカ。同じ人を思う二人が、ここで一度ばらばらになります。
帯広の高校で出会った真緒里
帯広の高校で、ルカの先輩だったのが広澤真緒里です。のちに東京で「イッコ」と名乗る女性です。
真緒里は、母・楠美の恋人である横井啓治の援助で、大学への進学を目指していました。ところが楠美と横井が別れて援助が途絶え、真緒里は進学をあきらめます。
名前も夢も、捨てるしかなかった真緒里。その先にいるのが、東京のイッコです。
新宿の路上で始まったキリエとイッコ
13年後の新宿で、ルカは「キリエ」というアーティスト名で路上ライブを続けています。
小説の冒頭は、甲州街道沿いの新宿駅南口。キリエはスケッチブックを三角に立てて手書きの看板にし、生声とギターだけで弾き語ります。
歌い終えたキリエのギターケースに入ったのは、一万円札の投げ銭でした。そこで「あたしはイッコ」と名乗る女性が現れます。
キリエの話す声は、ほとんど息だけ。「歌しか歌えません」と伝えたキリエは、その夜、イッコの家に一泊することになります。
映画のイッコは、過去と名前を捨て、キリエのマネージャーを買って出る謎めいた女性です。
イッコにかかった結婚詐欺の疑い
東京で「一条逸子」と名乗るイッコには、やがて結婚詐欺の疑いがかかります。
被害を訴える男として現れるのが、IT会社社長の波田目新平です。疑いが向けられたイッコは、姿を消してしまいます。
キリエのうたの結末とラスト
ここから先は、映画『キリエのうた』のラストに触れます。
フェスの会場へ向かう途中、イッコは刃物を持った男に刺されます。キリエは警察に止められても歌い続け、イッコの生死ははっきり描かれません。

フェスへ向かうイッコが刺される
クライマックスの舞台は、新宿中央公園でのフェスです。イッコは、花を持って駆けつけるとキリエに連絡していました。
ところが会場へ向かう途中、花束を手にしたイッコは、刃物を持った男に刺されてしまいます。
警察に止められても歌い続けたキリエ
フェスの会場では、警察が中止を求めます。それでもキリエは、歌うのをやめませんでした。
話す声はほとんど息なのに、歌うときだけは声が出る。キリエはその声で、歌い続けます。
夏彦とキリエの12年ぶりの再会
2023年の新宿で、夏彦はキリエ(ルカ)と12年ぶりに再会します。
きっかけは、警察の事情聴取でした。夏彦は涙を流し、二人は抱き合います。
岩井俊二監督は、夏彦を自分の思い出の集大成のような存在だと話しています。
イッコは死んだ?生死ははっきり描かれない
刺されたあとのイッコが生きているのか亡くなったのかは、作中で明言されません。
そのため、イッコの生死の受け取り方は人によって分かれます。
ラストシーンの受け取り方が分かれる理由
ラストの受け取り方が分かれるのは、イッコの行方が明かされないまま、物語が閉じるからです。
『キリエのうた』は、出逢いと別れを繰り返す4人の旅路を描いた物語です。そして作品が見つめているのは、13年に及ぶ魂の救済でもあります。
原作小説と映画・路上のルカの関係
『キリエのうた』には、岩井俊二が書き下ろした原作小説があります。映画の監督も、岩井俊二本人です。
原作小説は文春文庫の書き下ろし
小説『キリエのうた』は、文春文庫の書き下ろしです。「あの日」から13年の月日を経て、岩井俊二がたどり着いた物語です。
小説のキリエも、住所不定の路上シンガーです。歌うことでしか声を出せない女性として描かれます。
映画の原作になった小説は、文春文庫で読めます。
映画は物語がふくらんで今の形に
岩井監督は、アイナ・ジ・エンドを起用したことで物語がふくらみ、夏彦のくだりも増えて今の形になったと振り返っています。
ドラマ版『路上のルカ』は映画の再編集
『路上のルカ』は、岩井監督が映画の公開から1年弱たって再編集したドラマ版です。全10話で、5時間半を超えます。
監督は、物語の向かう先は同じでも、まるで違う体感・読後感の作品になったと話しています。
キャストと登場人物
キリエ(路花)を演じるのはアイナ・ジ・エンドで、本作が映画初主演です。夏彦は松村北斗、イッコは広瀬すずが演じています。
| 役名 | キャスト | 人物 |
|---|---|---|
| キリエ(路花) | アイナ・ジ・エンド | 歌うことでしか声が出せない路上ミュージシャン |
| 潮見夏彦 | 松村北斗 | 姿を消したフィアンセを捜し続ける青年 |
| 一条逸子(真緒里) | 広瀬すず | 過去と名前を捨て、キリエのマネージャーを買って出る女性・イッコ |
| 寺石風美 | 黒木華 | 大阪でルカを保護する小学校教師 |
| 波田目新平 | 松浦祐也 | IT会社社長 |
| 広澤楠美 | 奥菜恵 | 真緒里の母 |
| 横井啓治 | 石井竜也 | 楠美の恋人 |
| 小塚呼子 | 大塚愛 | キリエの母 |
| 風琴 | 村上虹郎 | ギタリスト |
| 日高山茶花 | 粗品 | キーボード奏者 |
キリエのうたの配信
映画『キリエのうた』は、次のような動画配信サービスで配信されています(2026年10月時点)。
- U-NEXT
- Prime Video
- Hulu
キリエのうたのよくある質問
Q1. キリエのうたでイッコは死んだのですか?
A. フェスへ向かう途中で刺されたあとのイッコの生死は、作中で明言されません。受け取り方は、見る人によって分かれます。
Q2. 夏彦は誰の恋人ですか?
A. 夏彦の恋人は、ルカ(キリエ)の姉・希です。希は震災で行方が分からなくなり、夏彦は姿を消した希を捜し続けます。
Q3. キリエはなぜ歌でしか声が出ないのですか?
A. 震災のあとから、ルカは歌うときにしか声が出せなくなりました。話す声は、ほとんど息だけです。
Q4. キリエのうたに原作小説はありますか?
A. あります。岩井俊二が書き下ろした小説『キリエのうた』が、文春文庫から出ています。映画の監督も岩井俊二です。
Q5. 『路上のルカ』とは何ですか?
A. 映画『キリエのうた』を、岩井監督が再編集したドラマ版です。全10話で、5時間半を超えます。
キリエのうたのネタバレまとめ
キリエのうたのネタバレの核心は、フェスへ向かうイッコが刺され、その生死がはっきり描かれないことです。
- ルカは石巻の震災のあと、歌うときにしか声が出せなくなった
- 大阪で風美に保護されたルカは、夏彦と再会するが児童相談所の判断で引き離される
- 帯広の高校の先輩・真緒里は進学をあきらめ、東京でイッコと名乗る
- イッコには結婚詐欺の疑いがかかり、姿を消す
- フェスへ向かう途中、イッコは刃物を持った男に刺される
- キリエは警察に止められても歌い続け、夏彦とは12年ぶりに再会する
- イッコの生死は作中で明言されず、受け取り方が分かれる

