ギヴンは、キヅナツキさんが手がけた音楽×青春の物語です。本編は全9巻で完結していて、2025年10月1日には10年後を描く後日譚『10th mix』が発売されました。
静かな痛みと再生をていねいに描いた作品で、私自身、読み終えたあとしばらく余韻が抜けなかった一作です。
このページでは、あらすじと登場人物、バンド名の由来、最終回の結末、由紀をめぐる物語、アニメ・劇場版の情報までまとめます。
記事のポイント
- あらすじと登場人物の関係がまるっと整理できる
- 全9巻での完結と後日譚10th mixの位置づけがわかる
- 最終回の結末と、由紀をめぐる物語の受け止め方をつかめる
- アニメ・劇場版シリーズの情報と見どころを把握できる
ギヴンのネタバレ|あらすじと登場人物
ギヴンは、弦の切れたギターを抱える真冬と、その歌声に衝撃を受けた立夏が、バンドを通して近づいていく物語です。

ギヴンの基本情報とバンド名の由来
『ギヴン(given)』は、キヅナツキさんが手がけた漫画作品です。出版社は新書館、レーベルはDear+コミックス(ディアプラス・コミックス)で、掲載誌は「シェリプラス」。連載は2013年から2023年にかけて続きました。
ジャンルとしてはBL(ボーイズラブ)にあたりますが、その枠にとどまりません。音楽と青春、そして喪失からの再生をていねいに描いた物語として、幅広い層に読まれてきました。
タイトルであり作中バンド名でもある「given(ギヴン)」の由来は、ファンの間でいくつか語られています。よく知られているのは次の2つです。
- 真冬が受け継いだギターの「give(与えられたもの)」から取られたという説
- 前身バンドの名前を短くしたものだという説
どちらも公式のインタビューなどで明言されたものとは言い切れず、ファンの解釈として広まっているものです。
「与えられた(given)」という言葉は、亡き人から受け継いだギターや想いと重なって聞こえます。この物語の切なさをよく表しているなと感じます。
作品の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作者 | キヅナツキ |
| 出版社 | 新書館 |
| レーベル | Dear+コミックス(ディアプラス・コミックス) |
| 掲載誌 | シェリプラス |
| 巻数 | 本編全9巻(完結)+後日譚 |
ギヴンのあらすじと物語の始まり
物語は、高校のギター部に所属する上ノ山立夏が、同級生の佐藤真冬と出会うところから動き出します。真冬は、弦の切れたギターを大事そうに抱えていました。
真冬は、映画版のぬいぐるみにもなっています。
最初はつかみどころのない真冬に戸惑う立夏。ところが、ふとしたきっかけで真冬の歌声を耳にし、その圧倒的な声に強い衝撃を受けます。
立夏は、すでに中山春樹・梶秋彦と組んでいたバンドに真冬を誘います。こうして4人のバンド「given」が形になっていきます。ただ、真冬には人に言えない過去がありました。かつて交際していた恋人・吉田由紀を亡くしているのです。
歌うことで由紀への想いと向き合う真冬と、そんな真冬に惹かれていく立夏。ふたりの距離が少しずつ縮まっていく過程が、この物語のいちばんの入り口です。
バンドという「音を合わせる場所」を通して、それぞれが抱えたものを少しずつ言葉にしていく。胸がじんとする導入だなと私は思いました。
ギヴンは何巻まで?完結と続編
本編は全9巻ですでに完結しています。第9巻が2023年に発売され、立夏と真冬を中心とした本編の物語はきちんと区切りを迎えました。2025年には後日譚『ギヴン 10th mix』も発売されています。
本編は全9巻で完結
1巻から少しずつ時間をかけて刊行され、最終巻となる第9巻で本編は完結しています。未完のまま止まっている作品ではないので、「最後まで読める作品」として安心して手に取れます。
長い期間をかけて描かれたぶん、キャラクターたちの変化や成長がしっかり積み重なって感じられます。
後日譚『ギヴン 10th mix』
本編完結後に刊行されたのが、後日譚『ギヴン 10th mix』です。2025年10月1日に発売され、登場人物たちの10年後の姿が描かれています。
本編の直接の続きではなく「後日譚」という位置づけです。まずは全9巻の本編を読んでから、10th mixに進むのがおすすめです。
ギヴンの主要登場人物
主要な登場人物と、読み方・役割は次のとおりです。バンド「given」の4人と、物語を彩る周辺のキャラクターに分けています。
バンド「given」の4人
| 登場人物 | 読み方 | 役割・特徴 |
|---|---|---|
| 佐藤真冬 | さとう まふゆ | ボーカル。圧倒的な歌声を持つ。亡き恋人・由紀への想いを抱える |
| 上ノ山立夏 | うえのやま りつか | ギター担当。真冬の歌声に衝撃を受けバンドに誘う |
| 中山春樹 | なかやま はるき | ベース担当。バンドのリーダー的な存在 |
| 梶秋彦 | かじ あきひこ | ドラム担当。大学生で、バンドの兄貴分 |
物語をより深くする周辺の人物
| 登場人物 | 読み方 | 役割・特徴 |
|---|---|---|
| 吉田由紀 | よしだ ゆき | 真冬のかつての恋人(故人)。物語全体に影を落とす存在 |
| 村田雨月 | むらた うげつ | バイオリニスト。秋彦の恋人で、幼なじみでもある |
| 鹿島柊 | かしま ひいらぎ | 真冬と由紀の幼なじみ。劇場版『柊mix』の中心人物 |
| 八木玄純 | やぎ しずすみ | 柊のバンド「syh」のメンバー |
この物語では、二組の関係が二重奏のように並んで描かれます。真冬と立夏という高校生コンビの初々しい関係と、秋彦と雨月という大学生コンビの少し大人びた関係です。
若さゆえの手探りと、こじれてしまった関係を抱えた者同士の葛藤。世代の違う二組の物語が響き合うことで、作品全体に奥行きが生まれています。由紀という亡き人の存在が、そのすべての物語に静かに関わってくるのも、読み進めるほどに効いてくる仕掛けです。
物語の見どころと音楽の魅力
ギヴンの魅力は、なんといっても「音楽」と「感情」の描き方が地続きになっているところです。言葉にできない想いが、歌やメロディに乗って伝わっていく——その瞬間の描写に、この作品ならではの説得力があります。
真冬が抱える喪失感や、立夏の戸惑いといった感情は、セリフだけでなく演奏シーンを通じて表現されていきます。だからこそ、静かな場面が続いてもまったく退屈しません。むしろ、行間や沈黙にこそ大切なものが詰まっているタイプの物語です。
派手な展開で押し切るのではなく、登場人物の内面をていねいに追いかける静かな人間ドラマが好きな方に刺さる作品です。似た手触りの作品なら、日常の機微をじっくり描いた路傍のフジイの物語を紹介した記事もあわせてどうぞ。
ギヴンのネタバレで見る結末とアニメ・映画
後半では、真冬と立夏の関係の行方と最終回、由紀をめぐる物語、アニメと劇場版の情報をまとめます。劇場版シリーズの完結編は「海へ」です。

佐藤真冬と上ノ山立夏の関係
ここから先は物語の核心に触れるネタバレを含みます。まだ本編を読んでおらず、結末を先に知りたくない方は、この見出しを飛ばして読み進めてくださいね。
真冬と立夏の関係は、この物語のいちばんの軸です。歌声に惹かれた立夏が真冬に近づき、真冬もまた、立夏と過ごす時間の中で少しずつ前を向いていく。ふたりは徐々に惹かれ合い、やがて交際へと進んでいきます。
ただ、そこに至るまでは決してまっすぐな道のりではありませんでした。真冬の心には、亡くなった由紀の存在がずっと影を落としています。立夏を好きになることへの後ろめたさや、前に進むことへの怖さと、真冬は何度も向き合うことになります。
立夏のまっすぐな想いが、その凍りついた気持ちを少しずつ溶かしていく。急がず、でも確かに近づいていくふたりの歩みは、読んでいてこちらの心まで温かくしてくれます。
ギヴンの結末と最終回
最終回で本編は、真冬と立夏がお互いを想い合ったまま、バンド活動を続けていく形で区切りを迎えます。悲劇的に終わるのではなく、前を向いた終わり方になっているのが、この作品のやさしさだと私は感じました。
終盤で大きな鍵になるのが、由紀が残した未完成の楽曲です。立夏がその曲と向き合い、完成へと導いていきます。その中で真冬は、「音楽を選んだらもう後戻りできない」という怖さと正面から向き合います。
そして最終的に、その恐怖を乗り越えて音楽を続けていく決意をします。
由紀という過去を否定するのではなく、受け止めたうえで前に進む。読み終えたとき、切なさの中にちゃんと希望が残る、そんな結末でした。
アニメ版と劇場版の見どころ
ギヴンは、TVアニメから劇場版シリーズまで、複数の形で映像化されています。原作を読んだあとに映像で味わい直すのもおすすめです。
TVアニメ版(2019年)
TVアニメ『ギヴン』は、2019年7月11日から9月20日にかけてフジテレビの「ノイタミナ」枠で放送されました。全11話で、制作はLerche、監督は山口ひかるさんが務めています。主なキャストは次のとおりです。
- 真冬役:矢野奨吾さん
- 立夏役:内田雄馬さん
- 秋彦役:江口拓也さん
- 春樹役:中澤まさともさん
真冬の歌声が実際の音として響く演出は、アニメならではの醍醐味です。
劇場版シリーズ
アニメの続きにあたる部分は、劇場版で描かれています。まず2020年8月22日公開の『映画 ギヴン』は、秋彦と雨月の関係にスポットを当てた内容です。フジテレビのBLレーベル「BLUE LYNX」の作品として制作されました。
さらに完結編として、2部作の劇場版が公開されています。前編『映画 ギヴン 柊mix』が2024年1月27日、後編『映画 ギヴン 海へ』が2024年9月20日に公開されました。「海へ」がシリーズの完結作です。
「柊mix」では真冬と由紀の幼なじみである鹿島柊が中心に描かれ、「海へ」で物語がひとつの帰結を迎えます。原作を読んだうえで劇場版を追うと、キャラクターたちのその後まで見届けられます。なお、実写ドラマ版もあります。
由紀をめぐる物語
ギヴンを語るうえで避けて通れないのが、真冬の亡き恋人・吉田由紀の存在です。物語全体に静かに影を落とすこの人物について、多くの読者が「由紀はなぜ亡くなったのか」を気にしています。
ここでは由紀に関する物語の核心に触れます。デリケートな内容を含むため、気になる方は読み進める際にご注意ください。
由紀の死因は原作の中で明言されていません。考察サイトなどでさまざまな解釈が語られていますが、作中は多くを語らず、示唆にとどめる描き方です。
作者があえて明確に描かなかった部分なので、ここでも「こうだった」と決めつけることはしません。
確かなのは、由紀の死が真冬に深い喪失感とトラウマを残したことです。それが真冬の歌や、立夏との関係に大きく関わっています。語られない余白があるからこそ、読者それぞれが由紀という人物に想いを馳せられる。そんな余韻の持たせ方も、この作品の魅力です。
青春の中にある喪失をていねいに描いた物語なら、ねずみの初恋の物語を紹介した記事もあわせてどうぞ。
作者・キヅナツキと作品の特徴
作者のキヅナツキさんは、繊細な心理描写と、余白を生かした語り口に定評のある漫画家です。ギヴンでも、登場人物の感情をすべてセリフで説明し尽くすのではなく、表情や間、そして演奏シーンで「見せる」表現を大切にしています。
この「語りすぎない」作風こそが、ギヴンを唯一無二の作品にしていると私は思います。読者に解釈を委ねる余白が随所にあり、だからこそ読むたびに新しい発見があります。
音楽と青春、恋愛、そして喪失と再生。いくつものテーマが静かに重なり合いながら、決して押しつけがましくならない。派手さではなく、余韻で心に残るタイプの名作だと感じます。
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ギヴンのネタバレまとめ
ギヴンのネタバレのポイントは次のとおりです。
ギヴンは、静かな痛みと再生をていねいに描いた、余韻の深い作品です。登場人物の心の動きを音楽とともに追いかけていく手触りにハマると、何度でも読み返したくなります。全9巻で完結しているので、これから一気に読み進めたい方にもぴったりです。

