平成13年3月、管理部門ひと筋の上原勇三が、昇進人事で高田署の刑事官に着任します。その日にスナックのママの他殺体が見つかり、数日後には署で保管していた警察手帳30冊が消えます。
ドラマ『刑事の勲章』は、横山秀夫の短編『刑事の勲章』と「動機」をもとに、2つの事件が重なる高田署を描いた作品です。
記事のポイント
- ドラマは短編『刑事の勲章』と「動機」の2作を合わせた物語
- 原作『刑事の勲章』は書籍未収録だった短編で、電子書籍オリジナルとして発売
- 「動機」の書き出しに登場するのはJ県警の企画調査官・貝瀬正幸
- 初回は2016年4月25日のTBS、2026年10月27日にはBS-TBSでも放送
刑事の勲章のネタバレあらすじ
ドラマ『刑事の勲章』は、新任の刑事官・上原が立つ高田署で、スナックのママ殺しと警察手帳30冊の消失が重なる物語です。手帳の件を調べるのは、県警警務部警務課の調査官・二渡真治です。

ドラマの原作は横山秀夫の2作
ドラマの原作は、横山秀夫の短編『刑事の勲章』と「動機」の2作です。『刑事の勲章』は文春e-Books、「動機」は文春文庫『動機』に入っています。
- 『刑事の勲章』:管理部門の上原が刑事官になり、殺人事件の捜査本部のさなかで追い詰められていく
- 「動機」:署内で一括保管していた30冊の警察手帳が紛失する
「動機」は、第53回日本推理作家協会賞(短編部門)の受賞作です。ドラマは『刑事の勲章』の筋に、この「動機」のエピソードを加えています。
新任の刑事官・上原が立つ高田署
高田署の刑事官になった上原勇三は、刑事の現場を知らないまま、殺人事件の捜査のさなかに着任します。
平成13年3月、県警警務部警務課の調査官・二渡真治は、部下の上原を昇進人事で高田署の刑事官に送り出しました。刑事官は刑事部門のまとめ役です。
ところが上原は管理部門で生きてきた男で、現場の経験がありません。上原はかつての先輩・大和田に、二渡の人事の愚痴をこぼします。
刑事官の初日、上原はうっかり遅刻してしまいます。刑事課では、殺人事件の捜査会議が開かれていました。着任したその日に、スナックのママの他殺体が見つかっていたのです。
上原は、刑事課長の野本からOB会の世話を頼まれます。事実上の厄介払いでした。
その夜のOB会主催の歓迎会でも、上原は邪険に扱われます。元エース刑事の「動の湯上沢」にばかにされた直後、湯上沢と同期の「静の葉山」が上原に何かをつぶやきました。
湯上沢と葉山は、現役時代からのライバルです。退官したいまも、ライバル意識を燃やしています。
警察手帳30冊が消えた
数日後、高田署で保管していた警察手帳30冊が盗まれます。県警警務部長の赤間は、監察課次席の新堂に、3日間で解決するよう内部調査を命じました。
手帳は、二渡が自ら提案した「警察手帳の一括保管」の試験運用で集めたものです。刑事たちの抵抗が強く、署全体では運用されていませんでした。
集めた手帳は、警務課主任の大和田と部下の神谷が指差し確認のうえ、保管庫で管理していました。
二渡は、新堂とともに高田署で取り調べに臨みます。状況から見て、手を下せるのは大和田しかいません。
しかし実直で、退官まで1年あまりの大和田には動機がありません。反対に刑事たちには全員に動機がありますが、手段がありませんでした。
二渡がまず疑ったのは、上原が人事の恨みを大和田にもらし、大和田が二渡を困らせようとした筋です。
そのころ上原は、葉山から、スナックのママ殺しの犯人は湯上沢の甥だと教えられます。
やがて二渡は、上原がかつて辞めさせた同期の刑事・猪熊が、葉山の元部下だったと知ります。今度は、葉山が猪熊のために上原へ仕返しをしているのではないかと疑います。
手柄を焦った上原は、湯上沢の甥が犯人だと訴えます。しかしその線はすでに調べがついていて、犯人ではないと退けられました。
手帳をなくしたのは誰?真相のネタバレ
ここから先は、ドラマの真相と結末に触れます。
ドラマで警察手帳を実際に失くしたのは、大和田ではなく、部下の神谷潤一でした。
二渡は、七尾との何気ない会話から解決の糸口を見つけます。大和田が1冊を失くし、それを隠すために残りの手帳を隠したのではないか、という読みです。
やがて消えた手帳は戻ってきますが、数は28冊でした。足りないのは、大和田と神谷の2冊です。
これで二渡は、手帳を失くしたのが大和田ではなく神谷だと気づきます。
大和田が手帳を隠した理由
大和田が29冊を持ち去ったのは、手帳を失くした若い神谷をかばうためでした。
二渡は神谷に、大和田の思いを無にしないよう諭します。
手帳の件は、不問のまま収まります。
事件の決着と葉山の死
スナックのママ殺しの犯人は、猪熊が上原に教えます。
葉山はやがて亡くなります。
神谷が失くした手帳は、湯上沢の手から二渡に戻り、二渡はこれも不問にします。
刑事の勲章のネタバレとキャスト・原作
ドラマの二渡真治は仲村トオルが演じ、監督は榎戸耕史、脚本は窪田信介です。原作の『刑事の勲章』は、『64』に連なるD県警シリーズの一作です。

ドラマのキャストとスタッフ
主演の仲村トオルが演じる二渡真治は、前の週に放送されたドラマ『陰の季節』と同じ役です。2本とも、TBSの「月曜名作劇場 特別企画 横山秀夫サスペンス」で放送されました。
キャスト
| 役名 | キャスト | 役どころ |
|---|---|---|
| 二渡真治 | 仲村トオル | 県警警務部警務課の調査官 |
| 七尾友子 | 和久井映見 | 二渡との会話が、手帳の謎の糸口になる |
| 上原勇三 | 長谷川朝晴 | 二渡の部下から高田署の刑事官へ |
| 大和田徹 | 北見敏之 | 高田署の警務課主任・上原の先輩 |
| 新堂隆義 | 矢島健一 | 監察課次席 |
| 神谷潤一 | 細田善彦 | 大和田の部下 |
| 野本保彦 | 山中聡 | 高田署の刑事課長 |
| 湯上沢太郎 | 石橋蓮司 | 「動の湯上沢」と呼ばれた元エース刑事 |
| 葉山智之 | 寺田農 | 湯上沢と同期の「静の葉山」 |
| 赤間肇 | 滝藤賢一 | 県警警務部長 |
スタッフ
- 原作:横山秀夫
- 脚本:窪田信介
- 監督:榎戸耕史
- プロデューサー:伊藤正昭、木村理津
- 制作:コブラピクチャーズ/TBS
榎戸監督が手がけた横山作品のドラマは、『陰の季節』とこの作品を入れて10本目です。番組の情報はBS-TBSの番組ページにあります。
放送
- 初回:2016年4月25日(月)21:00〜22:54、TBS
- BS-TBS:2026年10月27日(火)21:00〜22:54、「火曜サスペンス」の枠
原作『刑事の勲章』はどんな話?
原作『刑事の勲章』は、二渡真治の懐に食い込んでいると自負する上原勇三が、N署の刑事官に任命される短編です。
二渡はD県警で「陰の人事権者」の異名をとるエースです。抜擢人事には違いないものの、警務畑ひと筋の上原には、畑違いの刑事部門への異動は放出に思えました。
しかもN署には、殺人事件の捜査本部が置かれています。上原は一課の刑事たちに軽んじられ、元刑事のOBが集まる会の圧力にもさらされて、追い詰められていきます。
署の名は、原作がN署、ドラマが高田署です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作者 | 横山秀夫 |
| 出版社 | 文藝春秋(文春e-Books) |
| 初出 | 「オール讀物」2002年2月号 |
| 発売 | 2016年4月15日(電子書籍オリジナル) |
| シリーズ | D県警シリーズ |
書籍に収められていなかった短編で、電子書籍オリジナルとして発売されました。「2016文藝春秋電子書籍ベスト100」では26位に入っています。
小説がドラマになった作品では、落日のネタバレ|小説のドラマ化も紹介しています。
『動機』との違い
ドラマのもう一つの原作「動機」は、文春文庫『動機』の表題作です。手帳の事件の筋は、この短編がもとになっています。
『動機』は2002年11月8日に発売された文春文庫で、320ページです。収録作は「動機」「逆転の夏」「ネタ元」「密室の人」の4編です。
- 「動機」:署内で一括保管していた30冊の警察手帳が紛失し、犯人は内部か外部かが問われる
- 「逆転の夏」:女子高生殺しの前科を持つ男が、匿名の殺人依頼の電話に苦しむ
- 「密室の人」:公判中の居眠りで失脚する裁判官を描く
「動機」は文春文庫『動機』に入っています。
ドラマで手帳の事件を追うのは、県警警務課の調査官・二渡真治です。これに対し、「動機」の舞台はJ県警です。
書き出しは「午前十時を過ぎて風がでた。」の一文です。J県警本部警務課の企画調査官・貝瀬正幸が、面会票に日付を書き込む場面が続きます。貝瀬は警視で、44歳です。
原作とドラマで筋の違いが気になる作品なら、推しの殺人のネタバレ|原作とドラマの違いもあります。
D県警シリーズの『陰の季節』『64』
『刑事の勲章』は、『64』に連なるD県警シリーズの一作です。D県警シリーズは、私もずっと好きなシリーズです。
シリーズ第1弾は『陰の季節』で、表題作は第5回松本清張賞の受賞作です。人事担当の二渡真治が、天下り先のポストに固執する大物OBの説得にあたります。
ドラマ『陰の季節』は2016年4月18日に放送されました。原作は「陰の季節」と「黒い線」です。
『64』は、昭和64年に起きたD県警史上最悪の事件をめぐり、警務部と刑事部が全面戦争に突入する物語です。その狭間に落ちるのが、広報官の三上です。
ドラマの『陰の季節』と『刑事の勲章』は、映画『64』の公開に先立って放送されました。映画は2016年の5月と6月に公開されています。
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刑事の勲章に関するよくある質問(FAQ)
Q1. ドラマ『刑事の勲章』の原作は何ですか?
A. 横山秀夫の短編『刑事の勲章』(文春e-Books)と、文春文庫『動機』に入っている短編「動機」の2作です。
Q2. 警察手帳を失くしたのは誰ですか?
A. ドラマで手帳を失くしたのは、大和田の部下の神谷潤一です。大和田は神谷をかばうため、残りの29冊を持ち去りました。
Q3. 刑事の勲章は『64』とつながっていますか?
A. 原作『刑事の勲章』は、『64』に連なるD県警シリーズの一作です。ドラマは、映画『64』の公開に先立って放送されました。
Q4. 原作の小説『刑事の勲章』は本になっていますか?
A. 書籍に収められていなかった短編です。2016年4月15日に、文藝春秋の電子書籍オリジナル(文春e-Books)として発売されました。
Q5. ドラマはいつ放送されましたか?
A. 初回は2016年4月25日のTBSです。2026年10月27日には、BS-TBSでも放送されました。
刑事の勲章のネタバレまとめ
ドラマ『刑事の勲章』は、新任の刑事官・上原が立つ高田署で、警察手帳30冊の消失とスナックのママ殺しが重なる物語です。
- 原作は横山秀夫の短編『刑事の勲章』と「動機」の2作
- 二渡が提案した一括保管の警察手帳30冊が、高田署から消える
- 手帳を失くしたのは神谷で、大和田がかばって29冊を持ち去った
- 戻った手帳は28冊で、大和田と神谷の2冊が足りなかった
- スナックのママ殺しの犯人は、猪熊が上原に教える
- 神谷の手帳は湯上沢から二渡に戻り、二渡は不問にする
- 原作『刑事の勲章』は、『64』に連なるD県警シリーズの一作

