こんにちは!マンガ愛読者の部屋、運営者のAJIです。
『クジャクのダンス、誰が見た?』、読み終わった後の衝撃、すごかったですね…。物語が複雑に絡み合っていて、読み進めるほどに「一体どういうこと?」って混乱した方も多いんじゃないでしょうか。
浅見理都先生といえば、ドラマ化もされた『イチケイのカラス』で法曹界のリアルな内情を描いたことでも知られていますが、本作では警察と検察という、さらに巨大な組織の闇に切り込んでいます。その鋭さと容赦のなさに、ページをめくる手が止まりませんでした。
特に、あの印象的なタイトルの意味や、複雑すぎる登場人物の相関図、そして22年前に起きた「東賀山事件」の真相と、現在の山下春生殺害事件の犯人は誰なのか…。次々と明かされる事実に、頭が追いつかない!と感じる瞬間もありました。
この記事では、そんな『クジャクのダンス、誰が見た?』の難解な部分を、私なりに整理して徹底的に考察してみました。物語の核心であるタイトルの意味から、最終回の結末で描かれた心麦の選択まで、あなたの疑問がスッキリ解決できるような内容になっているかなと思います。
記事のポイント
- タイトルの「孔雀のダンス」が示す本当の意味
- 複雑な登場人物の相関図と過去の関係性
- すべての発端「東賀山事件」の隠された真相
- 山下春生殺害事件の真犯人とその動機
ジャンプできる目次📖
孔雀のダンス誰が見た 考察:タイトルの意味

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\クジャクのダンス、誰が見た?を読んでみよう/
物語を読み解く上で、最大の鍵となるのがこの『クジャクのダンス、誰が見た?』というタイトルです。一見すると詩的で、何を指しているのか分かりにくいですよね。
ここには、物語のすべてを貫く、作者の強烈なメッセージが込められているんです。まずは、このタイトルの意味からじっくりと深掘りしていきましょう。
タイトルの意味は罪の隠蔽
このタイトル、最初聞いたときは「孔雀のダンス」って、あの美しいオスの孔雀が羽(上尾筒)を広げてメスに求愛する、華やかな行動のことかな?と思いました。
ですが、物語を読み解いていくと、その意味はまったくの真逆。本来「他者に見せるため」のダンスとは正反対に、「誰にも見られてはいけない行為」、すなわち「罪の隠蔽(いんぺい)」そのものを指していることがわかります。
そして、「誰が見た?」という問いかけ。これも一見すると「目撃者はいるのか?」という単純な疑問に聞こえますが、本当の意味はもっと深い。これは「たとえ目撃者が誰もいなかったとしても、あなたが罪を犯したという事実は消えない」という、犯人たちへの痛烈な問いかけであり、罪の重さを突きつける強烈なレトリック(修辞表現)なんですね。
この「孔雀のダンス(=罪の隠蔽)」が、作中で一度だけではなく、連鎖的に行われることで、物語は取り返しのつかない悲劇へと突き進んでいきます。
複雑な相関図を整理

本作のミステリーを難解にしている最大の要因が、この複雑すぎる人間関係ですよね…。特に「22年前の東賀山事件」と「現在の山下春生殺害事件」が、登場人物たちの血縁と因縁によって密接に結びついています。
私も読みながら「えっと、誰が誰の子供で、誰が不倫してたんだっけ?」と混乱したので、一度ここで主要人物の関係性を整理しておきましょう。
特に重要なのは、「山下心麦」「赤沢正」「赤沢京子」の3人。彼らが2つの事件を繋ぐ「鍵」となっています。スマホだと見づらいかもしれませんが、横スクロールして確認してみてください。
| 人物名 | 役割・概要 | 22年前 (東賀山事件時) | 現在 (春生殺害事件時) |
|---|---|---|---|
| 山下 心麦 (こむぎ) | 主人公。大学生。 | 「東賀山事件」の唯一の生存者、林川 歌 (うた)。 | 養父・春生の死の真相を追う。 |
| 山下 春生 (はるお) | 心麦の養父。元刑事。 | 「東賀山事件」の捜査担当。赤沢と共に真相(一家心中)を隠蔽し、力郎を冤罪に陥れる。心麦の戸籍を偽造。 | 22年前の罪を告白しようとし、殺害される被害者。 |
| 赤沢 正 (ただし) | 警視庁捜査一課の刑事。 | 春生の相棒。春生と共に事件の真相を隠蔽し、冤罪を主導。 | 山下春生殺害事件の真犯人。 |
| 赤沢 京子 (きょうこ) | 赤沢正の妻。 | 心麦(歌)の実母。当時、林川安成と不倫関係にあった。 | 22年前の秘密を知る最重要人物。 |
| 林川 安成 (やすしげ) | 「東賀山事件」の被害者(一家の主)。 | 心麦(歌)の実父。京子との不倫の子を家族に迎える。妻・里子を殺害後、自殺。 | - |
| 林川 里子 (さとこ) | 安成の妻。 | 夫の不倫相手の子(心麦)をめぐり、他の子供たちを殺害。 | 安成によって殺害される。 |
| 遠藤 力郎 (りきろう) | 死刑囚。 | 「東賀山事件」の犯人として、春生と赤沢に逮捕された(完全な冤罪)。 | 獄中から手紙を送る。 |
| 遠藤 友哉 (ともや) | 力郎の息子。 | - | 春生殺害事件の容疑者として、父と同じく冤罪で逮捕される。 |
こうして見ると、主人公の心麦自身が、22年前の事件の「被害者遺族(家族を殺された)」であり、同時に「加害者(林川家)の子供」であり、さらに「隠蔽工作の中心(赤沢京子の子)」だったという、あまりにも過酷な十字架を背負わされていたことがわかります…。
主要キャストと役柄紹介
本作はTBS系金曜ドラマ枠で実写ドラマ化もされました。このキャスティングがまた、原作の持つ重厚な雰囲気を完璧に再現していて、素晴らしかったですよね。
- 山下 心麦: 広瀬すず さん
- 松風 義輝: 松山ケンイチ さん
- 神井 孝: 磯村勇斗 さん
- 山下 春生: リリー・フランキー さん
原作者の浅見理都先生は、ヒット作『イチケイのカラス』で法曹界(裁判官)にスポットを当てましたが、本作では警察・検察という、より巨大で閉鎖的な組織の「闇」に正面から切り込んでいます。この作家性が、ドラマの緊張感を一層高めていたように思います。
物語の導入と二重の謎
物語は、心麦の養父である元刑事・山下春生がクリスマスイブに殺害される、という衝撃的なシーンから幕を開けます。
間もなく逮捕された容疑者は、遠藤友哉。彼は、22年前に春生が担当した「東賀山一家6人殺害事件」の犯人(とされた)遠藤力郎死刑囚の息子でした。
「父の冤罪を信じる息子による復讐か…」と、捜査本部は一気に色めき立ち、事件は早期解決に向かうかに見えました。しかし、物語はここからが本番です。
春生は殺される直前、娘の心麦に一通の手紙を遺していました。そこには、信じられない内容が記されていたのです。
被害者が、自分を殺す犯人として「誤って逮捕される人物」を事前に予見していた…。
この時点で、春生が「自分の死」と「その後の警察の捜査が、特定の人物(遠藤友哉)を意図的に犯人に仕立て上げること」を察知していたことがわかります。これは、春生の死が、警察内部の誰かによる計画的な犯行であることを示唆しています。
ここから、主人公の心麦は、弁護士の松風義輝と共に、「現在の父の殺人事件」の謎と、「22年前の父が関わった冤罪事件」という、二つの巨大な謎(ミステリー)に同時に挑むことになります。この二重構造が、読者を一気に物語の世界へ引きずり込むんですね。
神井記者の役割とは
この難解で巨大な「警察の闇」に、心麦たちとは別のアプローチで迫るのが、雑誌「週刊ジダイ」の記者・神井孝(ドラマ版:磯村勇斗さん)です。
彼は警察でも被害者家族でもない、いわば「第三の視点」。「地獄に堕ちてでも知りたいことがある」という常軌を逸した執念を持ち、時に違法スレスレの手段を使いながら、警察が必死に隠そうとする真実(孔雀のダンス)に迫っていきます。
神井は、タイトルの「誰が見た?」という問いに対する、一つの答えを象徴しています。それは、「(警察組織が隠蔽しようとも)社会の目=メディアが見ているぞ」という存在です。
彼が、山下春生と赤沢正が22年間守り通そうとした「孔雀のダンス(隠蔽)」を暴く、不可欠な触媒(しょくばい)として機能したことは間違いありません。
孔雀のダンス誰が見た 考察:犯人と真相

\クジャクのダンス、誰が見た?を読んでみよう/
さて、ここからは物語の核心に触れる考察です。
22年前の「東賀山事件」で、本当は何があったのか。そして、心麦の養父・山下春生を殺害した「現在の事件」の真犯人は、いったい誰だったのか。
【最重要警告】
これ以降は、物語の根幹に関わる決定的なネタバレを真正面から含みます。
まだ原作マンガを読んでいない方、ドラマを最終回まで観ていない方は、絶対にここで引き返してください!自己責任で読み進めていただくよう、お願いいたします。
東賀山事件の真相は一家心中
まず、すべての元凶となった22年前の「東賀山一家6人殺害事件」。
公式には「強盗目的の殺人事件」として処理され、前科のあった遠藤力郎が犯人として逮捕・死刑判決を受けました。しかし、その隠蔽された真相は、強盗殺人などではなく、「不倫関係のもつれによる一家心中」でした。
事件の経緯は、あまりにも醜悪なものでした。
これが、春生と赤沢が22年間隠し続けた「Dance 1」(原罪)の全貌です。
なぜ冤罪を生み出したのか
当時、捜査を担当した山下春生と赤沢正は、現場の状況から早い段階でこの「一家心中」の真相に気づいていました。しかし、彼らは真実を公表しませんでした。
もし真実(不倫と一家心中)が公表されれば、メディアが殺到し、やがてその不倫相手が「現役刑事(赤沢正)の妻(京子)」であり、生き残った赤ん坊(心麦)がその「不義の子」であることが暴かれてしまう。
赤沢正は自らのスキャンダルとキャリアを守るため。そして山下春生は、相棒の赤沢と、何より「罪なく生まれてきた赤ん坊(心麦)」の未来を守るため。
二人は共謀しました。彼らは、一家心中の真相を隠蔽し、捜査線上に都合よく浮かんだ前科持ちの遠藤力郎を「完璧な犯人」に仕立て上げ、強引な捜査で冤罪(Dance 2)を作り上げたのです。
犯人は赤沢正:動機を解説

そして、物語の冒頭で提示された最大の謎、「山下春生を殺害した真犯人は誰か?」。
その答えは、まさに22年前の冤罪事件を主導した、もう一人の人物でした。
心麦の養父・山下春生を殺害した真犯人。それは…赤沢 正(あかざわ ただし)です。
春生の元相棒であり、22年前に共に冤罪を捏造した共犯者。そして、心麦の実母・京子の夫であり、彼女の不倫という「原罪」を隠蔽し続けてきた男です。
彼が、唯一無二の相棒であったはずの春生を殺害した動機。それは、「22年前に犯した罪(東賀山事件の隠蔽と遠藤力郎への冤罪)を、春生が公表しようとしたから」でした。
遠藤力郎の死刑執行が現実味を帯びる中、山下春生は長年抱えてきた罪の意識に耐えきれなくなります。彼は、遠藤力郎を救うため、そして何より心麦に真実を伝えるため、22年間の秘密のすべてを告白し、自らも罪に服する決意(=贖罪)を固めていました。
しかし、赤沢正にとって、春生の告白は「すべて」を失うことを意味しました。冤罪捏造の主犯として刑事のキャリアを失うだけでなく、妻・京子の不倫というスキャンダル、そして心麦の平穏な生活も、すべてが白日の下に晒されます。
赤沢は、この22年間の「孔雀のダンス(隠蔽)」を守り通すため、相棒の口を封じる(=殺害する)という、最後の、そして最悪の罪(Dance 3)を犯したのです。
同じ罪(Dance 2)を犯した共犯者でありながら、春生は「贖罪(告白)」を選び、赤沢は「隠蔽(新たな殺人)」を選びました。この二人の刑事の決定的な対比こそが、現在の殺人事件の悲劇的な真相です。
心麦の正体と実の両親
この物語の最大の衝撃であり、すべての悲劇の核心にあるのが、主人公・山下心麦自身の「出生の秘密」です。
物語の終盤で明かされる通り、心麦は、山下春生の血の繋がった娘ではありませんでした。
心麦の本当の名前は「林川 歌(はやしかわ うた)」。22年前に発生した「東賀山事件」において、唯一生き残った生後6ヶ月の赤ん坊だったのです。
そして、彼女の生物学的な両親は、世間一般に知られている林川夫妻ではありません。
戸籍偽造という第二の犯罪
事件の真相(一家心中)と、生き残った赤ん坊(心麦)の出生の秘密が結びつくことを恐れた山下春生と赤沢正は、殺人事件の隠蔽(冤罪捏造)と並行して、もう一つの重大な犯罪に手を染めます。
それが、心麦の「戸籍偽造」です。
二人は産婦人科医の阿波山京一郎(彼は後に春生の手紙の重要性を心麦に説きます)らの協力を得て、心麦の「出産届を偽造」。これにより、心麦は戸籍上「山下春生の娘」として登録されました。
山下春生は、相棒の罪(妻の不倫)と、その結果生まれた「罪なき子供」の未来をたった一人で背負い、自らも重大な犯罪者となりながら、心麦を実の娘として22年間育て上げました。春生が遺した「冤罪」の告発状(手紙)は、この22年間の嘘(Dance 2)に対する、彼自身の命を懸けた贖罪だったのです。
赤沢京子の隠された過去
そして、すべての悲劇の「震源」とも言えるのが、心麦の実母・赤沢京子です。
彼女自身は、22年前の殺害事件にも、現在の春生殺害事件にも、直接手を下してはいません(最後、夫を突き落とそうとはしますが)。しかし、彼女の行動がすべての引き金となりました。
なぜ、現役刑事の妻でありながら、林川安成と不倫関係となり、子供まで産んだのか。その背景には、彼女の壮絶な生い立ちがありました。
貧しい生い立ちで、幼い弟を餓死させてしまったという強烈なトラウマを持つ京子は、金銭と「安定した生活」に異常なまでに執着していました。その執着が、裕福であった林川安成との不倫関係に繋がり、心麦(歌)を出産することになります。
最終回の結末:心麦の選択
すべての真相が明らかになり、長きにわたる「孔雀のダンス」は終焉を迎えます。
赤沢 正は、妻・京子によって高層マンションから突き落とされますが、運良く自動車の上に落下したことで一命をとりとめ、逮捕されます。彼は法廷で自らの罪(春生殺害と冤罪捏造)の裁きを受けることになりました。
遠藤 友哉は、春生殺害事件の容疑者としての誤認逮捕が解かれ、釈放されます。
遠藤 力郎は、22年越しの冤罪が遂に認められ、再審開始が決定。死刑執行と拘置が停止され、刑務所から釈放されます。父子の絆は、長い時を経てようやく回復されました。
そして、主人公・山下心麦。養父・春生が命がけで遺した手紙によって、すべての真相(自らの出生の秘密、実の両親の罪、そして養父の罪と深い愛)を受け入れます。
数年後、物語の最後、心麦が選んだ道は…
養父・春生と同じ「警察官」の道を選び、「白バイ隊員」として活躍する姿でした。
「罪」の継承と「正義」の再生
この結末、本当に胸が熱くなりました。そして、これ以上ないほどの「答え」だと感じました。
心麦は、自らの人生を狂わせた「警察」という組織の罪(冤罪捏造、隠蔽体質)を、被害者として、そして当事者の家族として、誰よりも深く知っています。その上で、あえて彼女はその一員となったのです。
それは、養父・春生が犯した「罪」から逃げるのではなく、春生が最期に示そうとした「正義」と「理想」を、今度は自分が引き継ぐという「覚悟」の表れです。二度と自分や遠藤親子のような悲劇(孔雀のダンス)が繰り返されないよう、組織の内部から見張り続ける。そのために、彼女は警察官になったのです。
春生の「贖罪」は、心麦の「未来」によって、ようやく本当の意味で果たされたのかもしれませんね。
孔雀のダンス誰が見た 考察まとめ
『クジャクのダンス、誰が見た?』の徹底考察、いかがだったでしょうか。
本作は、単なる犯人当てのミステリーではなく、「正義とは何か」「罪を犯した人間はどう生きるべきか」という、非常に重い問いを突きつける作品でした。
「子供を守るための嘘(犯罪)」は正義なのか、という春生と赤沢のジレンマ。そして、血の繋がりではなく、相手を信じ抜く「覚悟」と「行動」の中にこそ宿る「親子の絆」(春生と心麦、力郎と友哉)。
タイトルの「誰が見た?」という問いは、神井記者のような「メディアの目」によって罪は必ず暴かれる、という警告であると同時に、私たち読者に対して「罪とどう向き合うか」という選択を突きつけているように感じます。
人間の弱さと罪、そしてそれを乗り越えようとする愛と覚悟を描き切った、本当に骨太なクライム・サスペンスの傑作でした。
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※本記事で紹介した考察は、あくまでマンガ愛読者の部屋の見解です。作品の解釈は読者一人ひとりに委ねられています。また、作中の法律に関する記述はフィクションとしての表現であり、現実の法律相談は専門家にお願いいたします。





