鳥の脚を持つ少女つぐみ……ではなく、山奥の村で野鳥を狩って静かに暮らす少年ユル。その日常が謎の女性の襲撃で崩れていく——荒川弘の最新作、黄泉のツガイを読んで真っ先に浮かぶのは、やっぱり鋼の錬金術師のことだと思います。同じ作者だからこそ、世界観のつながりはあるのか、ハガレンの続編や関連作なのか、鋼の錬金術師とのつながりが気になって検索した方は多いはずです。
私自身、黄泉のツガイを読み進めるほどに「これはハガレンとどう違って、どこが似ているんだろう」と考えてしまいました。荒川弘の新作としての立ち位置、パクリや焼き直しと言われる誤解、そしてハガレンファンだからこそ楽しめる理由まで、この記事で私なりに整理していきます。結論を先に言うと、両作品にストーリー上のつながりはありません。それでも比較する価値は十分にある、というのがこの記事の立場です。
記事のポイント
- 黄泉のツガイとハガレンに世界観のつながりがあるのかどうか
- 同じ作者・荒川弘の作風として共通するテーマや絵柄の特徴
- 物語構造や核となる概念の違いを比較した考察
- パクリと言われる誤解と、ハガレンファンが楽しめる理由
ジャンプできる目次📖
黄泉のツガイとハガレンの関係
まず多くの人が気になるのが、黄泉のツガイとハガレン(鋼の錬金術師)がどういう関係にあるのか、という点だと思います。ここでは作者のこと、世界観のつながりの有無、そして作風やテーマ、絵柄の共通点まで、両作品の関係を落ち着いて見ていきます。最初に押さえておきたいのは、両作品は物語としては完全に独立した別作品だということです。

同じ作者・荒川弘の最新作
黄泉のツガイは、鋼の錬金術師を手がけた荒川弘さんによる完全オリジナルの新連載です。連載は月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス)で、2021年12月10日発売の号(2022年1月号)からスタートしました。単行本はガンガンコミックスから刊行され、既刊は13巻。最新の13巻は2026年7月10日に発売されています。
ハガレンといえば荒川さんの代表作であり、国内外で高い人気を誇る作品です。その作者が久しぶりに送り出した本格ファンタジーということで、連載開始当初から「ハガレンの荒川弘、待望の新作」という文脈で語られてきました。黄泉のツガイが荒川弘の新作として注目を集めるのは、こうした背景があるからですね。
作品の基本データ
| 項目 | 黄泉のツガイ |
|---|---|
| 著者 | 荒川弘 |
| 連載誌 | 月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス) |
| 連載開始 | 2022年1月号(2021年12月10日発売) |
| 既刊 | 13巻(13巻は2026年7月10日発売) |
| ジャンル | 完全オリジナルの本格ファンタジー |
なお、黄泉のツガイは連載も安定して続いており、打ち切りを心配する声もありますが、その点については黄泉のツガイ打ち切りの心配は不要!最新巻の見どころで詳しく触れています。あわせて読むと最新巻の位置づけが掴みやすいと思います。
世界観のつながりはある?
ここが一番気になるところだと思うので、はっきり書きます。黄泉のツガイとハガレンに、同一世界線であるとか、時代が地続きになっているといった公式な世界観のつながりは一切ありません。黄泉のツガイはあくまで完全オリジナルの新作であり、ハガレンの続編でもスピンオフでも前日譚でもありません。
黄泉のツガイの舞台は現代日本をベースにした世界で、ツガイと呼ばれる特殊な存在が関わる現実拡張型のファンタジーです。一方でハガレンは、架空の欧州風国家アメストリスを舞台にした異世界ファンタジー。舞台設定からしてまったく別物なので、世界観そのものが違うんですね。
共通する作風とテーマ
世界観は別でも、荒川弘という作家が描くものには一貫した骨格があります。黄泉のツガイとハガレンを並べたときに見えてくる、共通する作風とテーマを挙げてみます。
兄弟・家族の絆
ハガレンはエドワードとアルフォンスの兄弟が物語の中心でした。黄泉のツガイでも、主人公ユルと双子の妹アサという兄妹の関係が物語の起点になっています。家族の絆と、その家族を巡る秘密が話を動かしていく——この構図は両作品に共通する荒川作品らしさだと感じます。
国家規模の陰謀に挑む少年少女
ハガレンでは、国家の裏に潜む大きな陰謀にエドたちが立ち向かっていきました。黄泉のツガイも、平穏に見えた村の裏に不自然な秘密が隠されていて、ユルがその謎に巻き込まれていきます。小さな個人が、自分よりずっと大きな仕組みや力と対峙していく構図は、荒川作品が繰り返し描いてきたテーマですね。
生命と身体への踏み込み
ハガレンは「人体錬成」という、生命や身体そのものに踏み込むテーマを扱いました。黄泉のツガイでも、人間とは異なるツガイという存在を通して、生命や存在のあり方に踏み込んでいく気配があります。命を軽々しく扱わない一方で、そこに正面から向き合う姿勢は共通していると思います。
絵柄とキャラ造形の共通点
絵柄については、荒川弘さんの筆致がそのまま出ているので、ひと目で「同じ人が描いている」と分かる方も多いはずです。力強い線と、コミカルな表情の落差、そして戦うシーンでの躍動感——このあたりはハガレンから黄泉のツガイまで一貫しています。
キャラ造形の面でも、芯の強い少年少女、頼れる大人、どこか憎めない敵役といった配置に荒川作品らしさが出ています。絵柄とキャラの魅力でハガレンが好きだった人ほど、黄泉のツガイにもすっと入っていけるのではないかなと思います。
黄泉のツガイとハガレンを比較考察
ここからは、黄泉のツガイとハガレンをもう一歩踏み込んで比較考察していきます。物語構造の違い、パクリと言われてしまう誤解、そしてハガレンファンだからこそ楽しめる理由を順番に見ていきましょう。似ているようでいて、実は狙っているものが違う——そこが面白いところです。

物語構造の違いを比較
同じ作者でも、黄泉のツガイとハガレンでは物語の組み立て方に違いがあります。核となる概念、舞台、情報の出し方という三つの軸で比べてみます。
核となる概念の違い
ハガレンの物語を貫く核概念は、よく知られた「等価交換」でした。何かを得るには同等の代価を払う——この原則が物語全体のルールになっていました。対して黄泉のツガイの核にあるのは「対(つい)=ツガイ」、つまり二つで一組という考え方です。等価交換が「取引」の思想なら、ツガイは「対になること」の思想。同じ荒川作品でも、世界を成り立たせるルールがまるで違うわけですね。
舞台設定の違い
| 比較軸 | ハガレン | 黄泉のツガイ |
|---|---|---|
| 舞台 | 架空の欧州風国家アメストリス | 現代日本をベースにした世界 |
| タイプ | 異世界ファンタジー | 現実拡張型ファンタジー |
| 核の概念 | 等価交換 | 対(ツガイ) |
ハガレンが「ここではない世界」の物語だったのに対し、黄泉のツガイは私たちの日常の延長線上に不思議を持ち込んでくる作りになっています。この立ち位置の違いが、読んだときの手触りをかなり変えていると感じます。
情報の出し方の違い
これは一つの見方ですが、ハガレンは比較的早い段階で世界観やルールを読者に開示していく設計だったのに対し、黄泉のツガイはあえて情報を絞り、謎を残しながら進む構成だという指摘があります。断定はできませんが、序盤で「これはどういう世界なんだ?」とモヤモヤさせる感覚は、確かにハガレンとは違う読み味だと思います。
パクリ・焼き直しと言われる誤解
この項目では作品の設定や構造に触れます。先入観なく読みたい方はご注意ください。
黄泉のツガイを検索すると「パクリ」というサジェストが出てくることがあります。ただ、これは同じ作者が同じような作家性で描いているからこそ生まれる誤解だと思います。前作と作風やテーマが似ているのは当たり前で、それを「焼き直し」と受け取るか「作家の一貫した個性」と受け取るかの違いですね。
実際には、先ほど比較したように核となる概念も舞台も情報の出し方も違っていて、黄泉のツガイはハガレンの二番煎じではなく、明確に別の狙いを持った作品です。他作品からの盗用という意味でのパクリではなく、あくまで同じ作家の新しい挑戦と捉えるのが実態に近いと私は考えています。
荒川さん自身も、新作をハガレンの再演ではなく新たな挑戦として描いている姿勢が伝わってきます。似ている部分に安心しつつ、違う部分を楽しむ——そういう読み方が一番しっくりくるのではないでしょうか。
ハガレンファンが楽しめる理由
では、ハガレンが好きだった人が黄泉のツガイを楽しめる理由はどこにあるのか。私なりに整理してみます。
まず、荒川弘作品らしい家族の絆や、大きな力に挑む少年少女の構図はしっかり健在です。ハガレンで胸を打たれた要素が、形を変えて黄泉のツガイにも息づいています。そのうえで、現代日本を舞台にした新鮮な世界観と、謎を小出しにする構成で「次はどうなるんだ」と引っ張られる楽しさが加わっています。
ハガレンで命の重さや家族の物語に惹かれた方には、ニーナとアレキサンダーのエピソードが忘れられないという人も多いと思います。荒川さんが命をどう描く作家なのかを知るうえで、鋼の錬金術師のニーナとアレキサンダーの解説記事も参考になります。その視点を持って黄泉のツガイを読むと、また違った深みが見えてくるはずです。
アニメも2026年4月4日から放送が始まっており、映像で世界観に触れられるようになりました。原作を読むなら電子書籍が手軽で、コミックシーモアは試し読みから入れるので、ハガレンとの違いを自分の目で確かめてみるのがおすすめです。
ハガレン比較のよくある質問
黄泉のツガイとハガレンの比較でよく聞かれる疑問を、Q&A形式でまとめました。
黄泉のツガイはハガレンの続編ですか?
いいえ、続編ではありません。黄泉のツガイは荒川弘さんの完全オリジナルの新作で、ハガレンとストーリー上のつながりはない別作品です。
ハガレンを読んでいないと楽しめませんか?
そんなことはありません。世界観は独立しているので、ハガレン未読でも問題なく楽しめます。ハガレンを読んでいると「作風が似ているな」と気づける、というプラスアルファがある程度です。
黄泉のツガイは何巻まで出ていますか?
2026年7月時点で既刊13巻です。13巻は2026年7月10日に発売されました。連載は月刊少年ガンガンで続いています。
まとめ:黄泉のツガイとハガレン
ハガレンとの比較のほかにも、黄泉のツガイの気になるテーマは黄泉のツガイの考察まとめで一覧にしています。あわせてどうぞ。
ここまで、黄泉のツガイとハガレンの関係と比較考察を見てきました。最後に要点を振り返ります。黄泉のツガイはハガレンの続編でも同一世界の話でもなく、完全に独立した別作品です。それでも、家族の絆・大きな力に挑む少年少女・生命への踏み込みといった荒川弘作品らしいテーマは共通していて、絵柄やキャラの魅力も地続きに感じられます。
一方で、核となる概念は「等価交換」から「対(ツガイ)」へ、舞台は異世界から現代日本へと変わり、情報の出し方も違います。だからこそ、ハガレンファンにとっては「似ているのに新しい」という楽しみ方ができる作品だと思います。パクリという言葉に惑わされず、同じ作家の新しい挑戦として味わってほしいですね。
作品の設定やアニメの放送情報などは変更されることもあります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。作品の解釈や考察はあくまで一つの見方であり、最終的な判断はご自身で楽しみながら深めていただければと思います。気になった方は、まずコミックシーモアの試し読みで黄泉のツガイの世界に触れてみてください。