午後10時過ぎ、モデルガンを握って小さな書店を見張る大学生の「僕」。伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』は、この場面から始まる小説です。
アパートで出会った長身の青年に「一緒に本屋を襲わないか」と誘われたのが、すべての始まりでした。原作は漫画ではなく、2003年に刊行されたミステリーで、2007年には映画にもなっています。
記事のポイント
- 現在の「河崎」の正体はブータンからの留学生ドルジ
- 琴美は2年前、ペット殺しの犯人グループの車にはねられて亡くなる
- 本屋襲撃の本当の狙いは広辞苑ではなく、書店で働く江尻
- 映画は犬を助けに道路へ走り出すドルジの姿で終わる
アヒルと鴨のコインロッカーのネタバレ|河崎の正体と真相
ここから先は、小説『アヒルと鴨のコインロッカー』の真相と結末のネタバレを含みます。
椎名の隣人「河崎」の正体は、ブータンからの留学生ドルジです。本屋襲撃は、2年前に恋人の琴美を亡くしたドルジの復讐でした。

原作は伊坂幸太郎の小説で、創元推理文庫で読めます。
現在と2年前、2つの物語
物語は、椎名の現在の物語と、琴美の2年前の物語が同時に進むカットバック形式で描かれます。
現在の物語は本屋襲撃の誘いから
現在の物語の「僕」は、大学入学で仙台へ引っ越してきた椎名です。アパートで最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年でした。
初対面の青年は、いきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきます。青年は隣人の河崎と名乗り、同じアパートの留学生ドルジに広辞苑を贈るためだと言うのです。
冒頭の椎名は、モデルガンを握って細い県道沿いの小さな書店を見張っています。閉店間際の駐車場から、車が次々に出ていくところでした。
2年前の物語は琴美とドルジの日々
もう一つは、琴美を中心にした2年前の物語です。琴美はドルジの恋人で、河崎の元恋人でもありました。
琴美はペットショップで働いていて、その店の店長が麗子です。
現在の「河崎」の正体はドルジ
現在の物語の「河崎」の正体は、2年前の物語に出てくるドルジです。ドルジはブータンからの留学生でした。
椎名に本屋襲撃を持ちかけた青年は、本物の河崎ではありません。ドルジが、河崎の名前を名乗っていたのです。
この入れ替わりが、読者の思い込みを使った叙述トリックになっています。
本物の河崎は、琴美の元恋人です。HIVに感染していた本物の河崎は、2年前の出来事の中で亡くなっています。
2年前の事件と琴美の死
琴美は2年前、ペット殺しの犯人グループが逃げる車にはねられて亡くなりました。
その犯人グループの一人が、書店で働く江尻です。
本屋襲撃の本当の目的
本屋襲撃の本当の目的は、広辞苑ではなく、書店で働く江尻を捕まえて復讐することでした。
ドルジは江尻を林の木に縛りつけ、鳥葬に見立てた形で置き去りにしました。ただし、江尻を殺してはいません。
麗子はのちに、ドルジに自首を勧めました。
題名の意味(アヒルと鴨)
題名のアヒルと鴨は、外から来たドルジと、もとから日本にいる人たちを重ねた言葉です。
琴美はドルジに、アヒルと鴨の違いを教えます。アヒルは外から来た鳥で、鴨はもとから日本にいる鳥だという話です。
アヒルと鴨のコインロッカーのネタバレ|結末と映画版
物語は、ボブ・ディランの曲が流れるプレーヤーを駅のコインロッカーに入れる場面で幕を閉じます。映画は、犬を助けに道路へ走り出すドルジの姿で終わります。

ラストのコインロッカー
ラストでは、ボブ・ディランの曲が流れたままのプレーヤーが、駅のコインロッカーに入れられます。
コインロッカーに閉じ込めた神様に、見ないふりをしてもらう。それが物語の最後の場面です。
題名の最後の「コインロッカー」は、このラストの場面で登場します。
映画(2007年)の結末
映画は、ドルジが車にひかれそうな犬を助けようと道路へ走り出す場面で終わり、その後は描かれません。
映画の公開日とキャスト
映画は2007年6月23日に公開されました。監督は中村義洋、上映時間は110分です。
濱田岳と瑛太のダブル主演で、主なキャストは次のとおりです。
- 椎名:濱田岳
- 河崎:瑛太(現在は永山瑛太)
- 琴美:関めぐみ
- ドルジ:田村圭生
ほかに、松田龍平、大塚寧々、岡田将生らが出演しています。主題歌は、ボブ・ディランの「風に吹かれて」です。
原作との違い
原作は映像にしにくい仕掛けを含む作品で、伊坂幸太郎自身も映画にするのは難しいと思っていました。
原作では現在と2年前の物語が同時に進みます。映画は現在を軸にして、琴美のエピソードを回想として挟む作りです。
アヒルと鴨のコインロッカーのネタバレに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 河崎の正体は?
A. 現在の物語の「河崎」の正体は、ブータンからの留学生ドルジです。
本物の河崎は琴美の元恋人で、2年前の出来事の中で亡くなっています。
Q2. ドルジは死んだ?最後はどうなる?
A. 映画では、ドルジが車にひかれそうな犬を助けようと、道路へ走り出したところで終わります。その後の安否は描かれません。
Q3. タイトルの意味は?
A. 琴美がドルジに教えた、アヒルと鴨の違いからきています。
外から来た鳥のアヒルがドルジ、もとから日本にいる鳥の鴨が日本の人たちの比喩です。
Q4. 原作はいつ刊行?受賞は?
A. 出版社は東京創元社で、2003年に「ミステリ・フロンティア」の第1回配本として刊行されました。2006年には創元推理文庫になっています。
第25回吉川英治文学新人賞を受賞し、2004年の第1回本屋大賞では3位でした。「このミステリーがすごい!2005年版」国内編では2位に入っています。
アヒルと鴨のコインロッカーのネタバレまとめ
アヒルと鴨のコインロッカーのネタバレの核心は、現在の「河崎」がドルジだったことです。
- 現在の「河崎」の正体は、ブータンからの留学生ドルジ
- 琴美はペット殺しの犯人グループの車にはねられ、本物の河崎も2年前に亡くなっている
- 本屋襲撃の狙いは、書店で働く江尻への復讐
- ラストは、ボブ・ディランの曲が流れるプレーヤーを駅のコインロッカーに入れる場面
- 映画は、犬を助けに道路へ走り出すドルジの姿で終わる

