4人目が急に来られなくなった合コンに、代打で呼ばれた大学生の「僕」。乾くるみの『イニシエーション・ラブ』は、そんな出会いから始まる恋愛小説です。
ところが最後の2行で、物語はまったく違う姿に変わります。原作は漫画ではなく、2004年に原書房から刊行された小説で、2015年には映画にもなりました。
記事のポイント
- 物語はside-Aとside-Bの2部構成
- 2人の「たっくん」は別人で、マユは2人と付き合っていた
- 最後の2行で、side-Bの鈴木の名前がわかる
- 映画は原作にないラストまで描く
イニシエーション・ラブのネタバレ|最後の2行の意味
ここから先は、小説『イニシエーション・ラブ』の結末のネタバレを含みます。
side-Aの「僕」とside-Bの「僕」は、同じ鈴木ではなく別の男性です。最後の2行でside-Bの鈴木の名前が呼ばれ、2人が別人だとわかります。

原作は乾くるみの小説で、文春文庫の1冊で読めます。
side-Aとside-B、2つのパートの物語
物語は、前半のside-Aと後半のside-Bの2部構成です。A面・B面の形は、カセットテープになぞらえたものです。
章の題には、当時のヒット曲の名前が付いています。目次は次のとおりです。
| 章 | side-A | side-B |
|---|---|---|
| 1 | 揺れるまなざし | 木綿のハンカチーフ |
| 2 | 君は1000% | DANCE |
| 3 | YES-NO | 夏をあきらめて |
| 4 | Lucky Chanceをもう一度 | 心の色 |
| 5 | 愛のメモリー | ルビーの指環 |
| 6 | 君だけに | SHOW ME |
side-Aは合コンの誘いの電話から始まる
side-Aの1章「揺れるまなざし」は、午後5時過ぎにかかってきた望月からの電話で始まります。
今夜の飲み会に4人目が来られなくなり、「僕」が代わりに誘われたのです。望月の言う「飲み会」とは、いわゆる合コンのことでした。
「僕」はこの合コンで、マユと出会います。マユは歯科衛生士の成岡繭子です。
side-Bは東京と静岡の遠距離恋愛
side-Bでは、東京で働くことになった鈴木が、静岡のマユと遠距離恋愛を続けます。
舞台は1980年代後半の静岡と東京です。
2人の「たっくん」は別人だった
side-Aの鈴木とside-Bの鈴木は、同じ人物ではありません。2人は名字が同じだけの、別々の男性です。
- side-Aの「僕」:鈴木夕樹(大学生)
- side-Bの「僕」:鈴木辰也(東京で働く社会人)
マユは2人を、どちらも「たっくん」と呼んでいます。名字も呼び名も同じなので、読者は2人を同じ鈴木だと思って読み進めます。
最後の2行で明かされること
最後の2行で、美弥子が鈴木を「辰也」と呼びます。ここで、side-Bの鈴木が夕樹ではなく辰也だとわかります。
この2行で、それまでのラブストーリーはまったく違う物語に変わります。
小説はこの2行で終わり、2人のたっくんが顔を合わせる場面はありません。
マユの二股と時系列
マユは、夕樹と辰也の2人と同時に付き合っていました。
side-Aとside-Bは、続きの話ではありません。同じ時期に並行して進んでいた、2つの恋の話です。
伏線と手がかり
2人が別人だと示す手がかりは、side-Aとside-Bの食い違いとして置かれています。
ルビーの指輪
side-Aのマユは、ルビーの指輪を「自分で買った」と言います。ところがside-Bで、その指輪は辰也からの贈り物だとわかります。
side-Bの5章の題も「ルビーの指環」です。
マユの入院
マユはside-Aで、入院の理由を夕樹に「便秘」と説明していました。実際には、中絶のための入院でした。
クリスマスイブのホテル
side-Aの夕樹は、クリスマスイブにホテルの予約を取ることができます。その予約は、side-Bの辰也がキャンセルしたものでした。
2人の就職先
side-Aの夕樹は、富士通に内定しています。side-Bの辰也は富士通ではなく、静岡の会社に就職して東京で働いています。
イニシエーション・ラブのネタバレ|映画版の結末と原作の違い
2015年の映画は、原作にないエンディングまで描いています。

映画(2015年・堤幸彦監督)の概要
映画『イニシエーション・ラブ』は、2015年5月23日に公開されました。監督は堤幸彦、配給は東宝です。
主なキャストは次のとおりです。
- 鈴木:松田翔太
- 成岡繭子(マユ):前田敦子
- 石丸美弥子:木村文乃
- 鈴木夕樹:森田甘路
- 友人役:三浦貴大、前野朋哉
映画の舞台は、バブル全盛期の静岡です。合コンで出会った鈴木とマユの交際から、物語が始まります。
映画でも、物語はside-Aとside-Bに分かれて並行して進みます。side-Bの鈴木は東京と静岡を車で往復し、同僚の美弥子に惹かれていきます。
映画のマユの職業は、小説の歯科衛生士とは違い歯科助手です。
小説は、最後の2行の仕掛けから「映像化不可能」とされた作品です。映画化では、作者の乾くるみ自身のアイデアでその難しさを乗り越えています。
映画は、ラスト5分でまったく違う物語に変わる作りです。
映画のラストは原作にない場面
映画は、小説の最後の2行の先まで描いています。
辰也は、自分が予約をキャンセルした静岡のホテルへ向かいます。そこで、マユと一緒にいる夕樹と鉢合わせします。
最後は、マユの無邪気な表情で幕を閉じます。原作と映画の違いは次のとおりです。
| 項目 | 小説 | 映画 |
|---|---|---|
| 最後の場面 | 美弥子が「辰也」と呼ぶ2行で終わる | 辰也がホテルでマユと夕樹に鉢合わせする |
| 2人のたっくん | 顔を合わせない | 最後に顔を合わせる |
| マユの職業 | 歯科衛生士 | 歯科助手 |
イニシエーション・ラブのネタバレに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 最後の2行の意味は?
A. side-Bの鈴木が、side-Aの鈴木夕樹とは別人の鈴木辰也だと明かされる2行です。美弥子が鈴木を「辰也」と呼ぶことで、それがわかります。
Q2. たっくんは何人いる?
A. 2人です。side-Aの鈴木夕樹と、side-Bの鈴木辰也です。マユは2人と同時に付き合い、どちらも「たっくん」と呼んでいました。
Q3. 映画と原作で結末は違う?
A. 違います。小説は「辰也」と呼ばれる最後の2行で終わり、2人のたっくんは顔を合わせません。
映画はその先まで描き、辰也がホテルでマユと夕樹に鉢合わせします。
Q4. 時代設定はいつ?
A. 1980年代後半です。舞台は静岡と東京で、章の題にも当時のヒット曲が使われています。
Q5. どこから読めばいい?
A. 小説は文春文庫の1冊で読めます。2007年4月10日発売の272ページで、定価は770円(税込・2026年10月時点)です。電子書籍版もあります。
最後の2行は先に読まず、side-Aの1章から順に読んでください。
イニシエーション・ラブのネタバレまとめ
イニシエーション・ラブのネタバレの核心は、2人の「たっくん」が別人だったことです。
- side-Aの「僕」は鈴木夕樹、side-Bの「僕」は鈴木辰也
- マユは2人と同時に付き合い、どちらも「たっくん」と呼んでいた
- 最後の2行で美弥子が「辰也」と呼び、別人だとわかる
- 映画は原作にないラストで、辰也と夕樹がホテルで鉢合わせする

