「スプリットタンって知ってる?」。蛇のように先が二つに割れた舌を見せる男アマとの出会いから、ルイの物語は始まります。
蛇にピアスは、金原ひとみが20歳で芥川賞を受けたデビュー作です。やがてアマは遺体で見つかりますが、殺したのが誰なのかは最後まで名指しされません。
記事のポイント
- アマを殺した犯人は、小説でも映画でも明かされない
- ルイは遺体に残ったお香からシバを疑うが、シバのもとに残る
- 映画には、原作にない渋谷の交差点のラストがある
- 小説は雑誌掲載時と単行本で結末が違う
蛇にピアスのネタバレ|アマを殺したのは誰?
蛇にピアスは、恋人のアマと彫り師のシバの間で、ルイが舌のピアスや刺青にのめり込んでいく物語です。始まりから結末までを、小説の流れを軸に、映画だけの描写は「映画では」と断って追います。

ここから先は、蛇にピアスの小説と映画の結末に触れます。
アマを殺した犯人は、作中で最後まで明かされません。ルイはシバを疑いながらも、シバのもとに残ります。
物語の始まり|スプリットタンとの出会い
物語は、アマが「スプリットタンって知ってる?」と聞く場面から始まります。アマの舌は、蛇のように先が二つに割れていました。
アマの割れた舌と身体改造の誘い
アマは「蛇とかトカゲみたいな舌」を見せて、人間もこういう舌になれると話します。語り手のルイにとって、これがスプリットタンとの出会いでした。
続けてアマは「君も、身体改造してみない?」と誘います。やり方は、舌にピアスを開けて穴を広げ、最後に切り離すというものです。
パンクな店「Desire」と店長のシバ
数日後、ルイはアマと「Desire」というパンクな店へ行きます。そこの店長が、彫り師でもあるシバでした。
シバの顔は、瞼から頬までピアスだらけです。両手の甲は、一面ケロイドに覆われていました。
舌の最初のピアスと龍の刺青
ルイの舌に最初のピアスを開けたのは、シバです。太さは14Gでした。
ルイは、背中にかけて龍の刺青を入れてみようとも思い始めます。ただシバは、ピアスや刺青と違って、体の形を変えるのは神だけの特権だと言います。
ルイ・アマ・シバの関係
ルイはアマと同じ部屋で暮らしながら、サディストの彫り師シバとも関係を持ちます。自分でも舌にピアスを入れ、刺青を彫り、身体改造にはまっていきます。

恋人のアマ
アマは割れた舌のほかに、左眉に三本、下唇にも三本のピアスをしています。ルイとは同じ部屋で暮らす恋人同士です。
サディストの彫り師シバ
シバはルイに、名刺の裏の携帯電話の番号を渡し、「良かったら電話して。」と声をかけます。
「俺お前の顔見てるとSの血が騒ぐんだ」というシバに、ルイは「私Mだから」と返しました。アマと暮らしながら、ルイはこのシバとも関係を持つようになります。

背中の龍と麒麟の刺青
ルイはシバに、背中へ龍と麒麟の刺青を彫ってもらいます。そのとき、龍と麒麟が飛んでいかないように、瞳は入れないでほしいと頼みました。
この瞳のない刺青が、物語の最後で意味を持ちます。
アマの失踪と遺体の発見
ある日、アマは姿を消します。数日後、アマは遺体で見つかりました。
遺体には、タバコを押し付けられた跡など、ひどい暴行の跡がありました。体にはお香も残されていました。
映画では、警察の説明で、直接の死因は窒息死とされています。
犯人はシバ?作中の手がかり
アマを殺した犯人は、小説でも映画でも名指しされません。ただ、ルイがシバを疑うきっかけになる手がかりは描かれています。
遺体に残ったお香とタバコ
ルイはシバの身の回りで、アマの遺体に残っていたものと同じお香を見つけます。
映画では、タバコの銘柄も遺体に残っていたものと同じでした。ここでルイは、アマを殺したのはシバかもしれないと考えます。
シバが疑われる理由と動機
ルイがシバを疑う根拠として描かれるのは、お香とタバコです。シバが自分で殺したと認める場面はなく、動機も語られません。
動機を想像するなら、ルイを独り占めしたかった、サディストの性向が行きすぎた、などが考えられます。ただ、どれも作中で確かめられることではありません。
ルイの最後|結末で選んだこと
ルイはシバを疑いながらも、シバのもとから離れません。そして最後に、次の3つを選びます。
- アマが「愛の証」にくれた歯を砕いて、飲み込む
- シバに頼んで、背中の龍と麒麟に瞳を入れてもらう
- 舌ピアスの穴を広げるのをやめる
スプリットタンは完成せず、ルイの舌には穴だけが残ります。
飛んでいかないようにと入れなかった瞳を、最後には入れる。アマとシバから離れて立つ決意とも、アマを失ったことを受け入れたしるしとも読めます。
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蛇にピアスの映画と原作小説の違い
映画の蛇にピアスは、蜷川幸雄監督が小説を映画にした作品で、2008年9月20日に公開されました。物語の大筋は小説と同じですが、ラストに映画だけの場面があります。

映画のラストシーンの意味
映画のラストには、渋谷の交差点でルイがしゃがみ込む場面があります。この場面は、原作小説にはありません。
ルイはお腹を押さえるようにして、交差点でうずくまります。なぜしゃがみ込んだのかは、作中で説明されません。
受け取り方は、見る人によって分かれます。
- お腹を押さえるしぐさから、妊娠の暗示と見る(因果応報と重ねる読み方も)
- アマとシバから離れ、独り立ちしていく姿と見る
- 雑踏の中でひとりになった、孤独の表れと見る
どれも見る側の読み方で、ルイが妊娠しているかどうかは作中で明かされません。
原作小説の結末は雑誌と単行本で違う
小説の結末は、文芸誌「すばる」に載ったときと単行本とで違います。単行本にするとき、作者の金原ひとみが結末に手を加えました。
単行本で加筆された結末
加筆のきっかけの一つは、すばる文学賞の選評での指摘でした。金原ひとみ自身も、もともと結末を気にしていました。
金原ひとみは、結末も書いているそのときに考える書き手です。
金原ひとみのデビュー作と受賞
蛇にピアスは、金原ひとみのデビュー作です。受けた賞は次の2つです。
- 2003年:第27回すばる文学賞
- 2004年:第130回芥川賞(綿矢りさと同時受賞)
芥川賞を受けたとき、金原ひとみは20歳でした。小説は集英社文庫から出ていて、電子書籍でも読めます。
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映画のキャストと配信
映画では、ルイを吉高由里子、アマを高良健吾、シバをARATA(現・井浦新)が演じました。下の予告編は、英語字幕つきの映像です。
主なキャスト
- ルイ:吉高由里子
- アマ:高良健吾
- シバ:ARATA(現・井浦新)
- マキ:あびる優
- ユリ:ソニン
このほか、次の俳優も出演しています。
- 市川亀治郎
- 井手らっきょ
- 小栗旬
- 唐沢寿明
- 藤原竜也
ルイ役は、吉高由里子の映画初主演です。吉高由里子はこの作品で、第32回日本アカデミー賞(2009年)の新人俳優賞を受けました。
映画の基本データ
- 公開:2008年9月20日
- 上映時間:約2時間(R15+)
- 監督:蜷川幸雄
- 脚本:宮脇卓也・蜷川幸雄
- 配給:ギャガ・コミュニケーションズ
見る前に知っておきたいこと
映画はR15+指定で、身体改造や暴力、性的な場面を含みます。家族と一緒に見ると、気まずく感じる場面があるかもしれません。
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蛇にピアスに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 蛇にピアスでアマを殺した犯人は誰ですか?
A. 犯人は、小説でも映画でも明かされません。ルイは、アマの遺体に残っていたものと同じお香をシバの身の回りで見つけ、シバを疑います。映画では、タバコの銘柄も同じでした。
Q2. アマの死因は何ですか?
A. 映画では、警察の説明で、直接の死因は窒息死とされています。遺体には、タバコを押し付けられた跡などの暴行の跡も残っていました。
Q3. 蛇にピアスのラストで、ルイはどうなりますか?
A. ルイはシバを疑いながらも、シバのもとに残ります。アマにもらった歯を砕いて飲み込み、背中の龍と麒麟に瞳を入れてもらいます。舌ピアスの穴を広げるのもやめ、スプリットタンは完成しません。
Q4. 映画のラストで、ルイが交差点でしゃがみ込むのはなぜですか?
A. 原作小説にはない、映画だけの場面です。しゃがみ込んだ理由は作中で説明されず、妊娠の暗示と見る人もいれば、独り立ちや孤独の表れと見る人もいます。
Q5. 小説と映画で結末は違いますか?
A. 大筋は同じですが、映画にはラストに渋谷の交差点の場面が加わっています。また小説そのものも、文芸誌「すばる」に載ったときと単行本とで結末が違います。
まとめ|蛇にピアスのネタバレ
蛇にピアスのネタバレでいちばん大事なのは、アマを殺した犯人が最後まで明かされないことです。
- アマは姿を消し、数日後に遺体で見つかる
- ルイは遺体に残ったお香と同じ物をシバの身の回りで見つけ、シバを疑う
- それでもルイはシバのもとに残り、歯を飲み込み、刺青に瞳を入れてもらう
- 映画には、原作にない渋谷の交差点のラストがある
- 小説の結末は、雑誌掲載時と単行本で違う
答えを示さずに終わるからこそ、ルイが最後に選んだものの重さが残る作品です。

