早春の夕方、30歳年上の夫を車で会合へ送る伊佐子。松本清張の『強き蟻』は、30歳年上の夫の遺産を狙う女を描いた長編小説です。
原作は漫画ではなく、1971年に文藝春秋から刊行された小説です。テレビドラマにも3度なっています。
記事のポイント
- 伊佐子は30歳年上の夫・信弘の遺産を狙う
- 録音テープで夫に発作を起こさせ、死なせる
- 作り直された遺言書で、遺産は伊佐子に入らない
- ドラマは3度作られ、2014年版は米倉涼子が主演
強き蟻の結末|伊佐子の計画と遺産の行方
ここから先は、原作小説『強き蟻』の結末のネタバレを含みます。
伊佐子は夫の信弘を死なせますが、信弘が作り直した遺言書によって、遺産は伊佐子に入りません。

原作は松本清張の長編小説で、文春文庫の新装版で読めます。
30歳上の夫を持つ伊佐子
物語は早春の寒い夕方、伊佐子が夫の信弘を車で会合へ送る場面から始まります。
会合は重役連の懇親会で、一週間前に社長交替が決まったばかり。後部座席の信弘は煙草をくわえています。
近ごろの信弘は、ますます猫背になりました。うすくなった髪には、白さも増しています。
燃料計はEを指していて、伊佐子は石油会社の赤いマークの下に車を寄せます。
そこで「今度はどの辺までドライブですか?」と聞かれ、伊佐子は「亭主が乗ってんのよ」と返します。
店員に年の差を聞かれた伊佐子は、「ざっと三十ね」と答えます。
夫の財産をめぐる伊佐子のたくらみ
伊佐子は遺産目当てに、三十歳年上の信弘と結婚しました。夫に隠れて不貞を働き、まわりには欲にまみれた男女が集まっています。
心臓に持病を抱える夫
信弘は心臓に持病を抱えています。伊佐子はそこに負担をかけ、夫が早く亡くなるように仕向けていきます。
伊佐子は信弘に、自分に有利な遺言書も書かせます。
弁護士の佐伯と熱海の旅館
その一方で、伊佐子は弁護士の佐伯と男女の関係になります。
二人は熱海の旅館を共同で買いますが、修理や維持にお金がかかるばかりです。伊佐子は、夫の遺産を早く手に入れなければならなくなります。
録音テープと夫の死
伊佐子は、佐伯との情事を録音したテープを使い、信弘の心臓に発作を起こさせます。
信弘はそのまま亡くなり、伊佐子の計画は思いどおりに進んだかに見えます。
遺言書の作り直しで遺産は入らない
ところが信弘は生前、遺言書を作り直していました。新しい遺言書には、速記者の宮原素子が関わっています。
そのため、信弘の遺産は伊佐子の手に入りません。
素子は、信弘の口述筆記のために沢田家へ来ていた速記者です。
最終章は聴取書と供述で明かされる
最終章では、素子の聴取書と石井の供述によって、事の顛末が明かされます。
石井は、伊佐子の若い愛人の一人です。
強き蟻の結末とドラマ版
強き蟻はテレビドラマに3度なり、ドラマごとに人物の設定が変えられています。

ドラマは3度・伊佐子を演じた3人
強き蟻のテレビドラマは3作あり、伊佐子を演じたのは次の3人です。
- 浜木綿子
- 若村麻由美(夫の信弘役は津川雅彦)
- 米倉涼子(2014年版)
若村麻由美版は、脚本が西岡琢也、監督が黒澤直輔です。
2014年版は米倉涼子主演の開局50周年企画
2014年版は、テレビ東京開局50周年特別企画として2014年7月2日(水)に放送されました。
2014年版のおもなキャスト
米倉涼子が、4人の男を翻弄する人妻・伊佐子を演じています。おもなキャストは次のとおりです。
- 沢田伊佐子:米倉涼子
- 沢田信弘:橋爪功
- 塩月芳彦:宅麻伸
- 佐伯義男:高嶋政伸
- 石井寛二:要潤
- 宮原素子:比嘉愛未
脚本は森下直、演出は松田秀知が担当しました。
原作とドラマで違う人物の設定
石井寛二の職業は、若村麻由美版ではIT会社社長、2014年版ではサッカー選手です。
2014年版の信弘は伊佐子より31歳年上で、原作の冒頭の「ざっと三十」とは少し違います。
2014年版の伊佐子は、3年後に信弘の資産十億円を未亡人として独り占めしようと企んでいます。
2014年版では、生活のお金を家政婦の椿サキ(かたせ梨乃)が管理し、伊佐子はそれに納得していません。
強き蟻の結末に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 強き蟻の結末は?
A. 伊佐子は録音テープを使い、夫の信弘に発作を起こさせて死なせます。ところが信弘は遺言書を作り直していて、遺産は伊佐子に入りません。
Q2. 伊佐子は最後どうなる?
A. 夫の遺産は手に入らず、伊佐子の計画は崩れます。熱海の旅館の費用の穴埋めに当てにしていた遺産も、入りません。
最後は、素子の聴取書と石井の供述で事の顛末が明かされます。
Q3. 強き蟻のドラマは何回作られた?
A. 3回です。伊佐子を演じたのは次の3人です。
- 浜木綿子
- 若村麻由美
- 米倉涼子(2014年版)
Q4. 強き蟻の原作はいつ刊行された?
A. 1971年に文藝春秋から刊行された、松本清張の長編小説です。文庫は、2013年5月10日発売の文春文庫(新装版)があります。
強き蟻の結末のまとめ
強き蟻の結末で、伊佐子は夫を死なせたものの、遺産を手にできません。
- 伊佐子は、佐伯との情事を録音したテープで信弘に発作を起こさせる
- 信弘は遺言書を作り直しており、遺産は伊佐子に入らない
- 最終章は、素子の聴取書と石井の供述で明かされる
- ドラマは3度作られ、2014年版は米倉涼子が主演

