綿矢りさの小説『ひらいて』は、高校3年生の愛が、同じクラスの地味な男子・たとえに片思いする物語です。たとえには、手紙をやりとりする秘密の恋人・美雪がいました。
小説は電車の中で愛がつぶやく「ひらいて」の一言で終わり、2021年公開の映画は美雪の教室で幕を閉じます。原作と映画では、結末の形が違うんですよ。
記事のポイント
- 愛はたとえの秘密の恋人・美雪に、気持ちを隠して近づく
- 小説は電車で折り鶴をほどき「ひらいて」とつぶやいて終わる
- 映画は美雪の教室で「また一緒に寝ようね」とささやいて終わる
- 映画の主演は山田杏奈、監督・脚本は首藤凜
ひらいてのネタバレ|あらすじと小説の結末
ここから先は、小説『ひらいて』の結末に触れます。
小説の愛は、たとえの秘密の恋人・美雪に近づき、最後は電車の中で「ひらいて」とつぶやきます。

ひらいての基本情報|綿矢りさ・新潮文庫・映画化
『ひらいて』は綿矢りさの長編小説で、1冊で完結しています。新潮文庫から出ていて、2021年には映画になりました。
作品データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作者 | 綿矢りさ |
| 単行本 | 新潮社・2012年7月 |
| 文庫 | 新潮文庫・2015年1月28日発売・192ページ |
| 電子書籍 | あり |
| 巻数 | 1冊で完結 |
| 映画 | 2021年10月22日公開・監督 首藤凜 |
書誌は新潮社の『ひらいて』のページで見られます。
作者・綿矢りさ
綿矢りさは、次の文学賞を受けてきた作家です。
- 2001年『インストール』で文藝賞
- 2004年『蹴りたい背中』で芥川賞(早稲田大学在学中)
- 2012年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞
- 2020年『生のみ生のままで』で島清恋愛文学賞
『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』『夢を与える』など、ほかにも映像化された作品があります。
映画化
映画『ひらいて』は2021年10月22日に公開されました。主演は山田杏奈さん、監督・脚本は首藤凜さんです。
単館系の公開ながら、興行収入は2022年1月までに1億円を超えました。
小説が原作の映像化作品では、十角館の殺人のネタバレ(犯人と最後の一行の意味)もまとめています。虚ろな十字架のネタバレ(犯人と結末)もあわせてどうぞ。
原作を紙で読む方のために、新潮文庫版を置いておきます。
あらすじ|愛がたとえに片思いし美雪に近づく
成績がよく目立つ愛は、地味なたとえにずっと片思いしています。彼に秘密の恋人・美雪がいると知り、愛は気持ちを隠して美雪に近づきます。
愛・たとえ・美雪の3人
- 木村愛:高校3年生。成績がよく明るく、学校で目立つ存在
- 西村たとえ:愛と同じクラス。目立たず、哀しい眼をした男子
- 新藤美雪:別のクラスの女子。糖尿病の持病があり、目立たない
小説は、愛の一人称「私」で語られます。
体育祭のパレードで始まった片思い
小説は、愛が高校1年の体育祭を思い出す場面から始まります。小雨の中のパレードで、クラスの出し物はピーターパンでした。
愛は5人いるティンカーベルの一人です。たとえはウェンディの弟役で、縞模様のパジャマを着ただけの仮装でした。
パレードが進むなか、横から伸びたたとえの手が愛の肩を押さえます。その手が離れるまで、愛は動けませんでした。
それ以来、愛は授業中にたとえを目で追うようになります。シャープペンシルを握る指を唇に当てる仕草や、祈るように組む両手を見つめていました。
3年生でまた同じクラスになっても、たとえは愛に少しの関心も向けません。愛はノートに彼の名前を書いては、黒く塗りつぶします。
秘密の恋人・美雪の存在
たとえには、ひそかに手紙をやりとりする相手がいました。それが美雪です。
映画では、愛が悪友たちと夜の学校に忍び込み、たとえの手紙を盗みます。差出人の美雪とたとえが、ひそかに付き合っていると知るのです。
愛は自分の気持ちを隠したまま、美雪に近づいていきます。こうして、愛・美雪・たとえの三角関係が始まります。
小説の結末|「また一緒に寝ようね」と電車の「ひらいて」
小説の愛は、美雪に「また一緒に寝ようね」と告げたあと、学校を出て電車に乗ります。折り鶴をほどいた愛が「ひらいて」とつぶやき、物語は終わります。
たとえの誘いと美雪への言葉
卒業が近いある日、教室でたとえが愛に、東京へ一緒に来るよう告げます。
そのあと愛は教室を飛び出し、美雪のクラスへ走ります。美雪の耳元で告げたのが、「また一緒に寝ようね」という言葉でした。
電車で折り鶴をほどく
愛はそのまま学校を出て、駅で切符を買います。行き先を決めないまま、電車に乗りました。
車内で愛は折り鶴をていねいにほどき、一枚の紙に戻します。そして最後に「ひらいて」とつぶやき、物語が終わります。
ラストの意味|愛はたとえと美雪から何を得たのか
小説は、ラストの意味を言葉では説明しません。描かれるのは、たとえに誘われ、美雪に言葉をかけ、電車で折り鶴をほどく愛の姿です。
ラストで愛に起きることを、順に並べると次のとおりです。
- たとえから、東京へ一緒に来るよう誘われる
- 美雪のもとへ走り、「また一緒に寝ようね」と告げる
- 行き先を決めずに電車に乗る
- 折り鶴をほどいて、一枚の紙に戻す
- 「ひらいて」とつぶやく
折り鶴をひらいた直後の最後の一言が、題名と同じ「ひらいて」です。この言葉に何を重ねるかは読む人によって分かれ、決まった答えはありません。
ひらいての映画と原作の違い|キャスト・配信・感想
ここから先は、映画『ひらいて』の結末に触れます。
映画は小説の電車の場面を描かず、愛が美雪の教室で「また一緒に寝ようね」とささやいて終わります。主演は山田杏奈さんです。

映画のラスト|美雪の手紙と教室の「また一緒に寝ようね」
映画の愛は、卒業式を前に美雪の手紙を読み、美雪の教室へ走ります。耳元で「また一緒に寝ようね」とささやいたところで、映画は終わります。
ラストまでの流れ
映画の後半は、次の順に進みます。
- 美雪から、たとえが東京へ行くと聞かされる
- 愛は、たとえが好きで美雪に近づいたと打ち明け、美雪に拒まれる
- バスでたとえの家へ向かい、たとえの父親を殴る
- 3人で逃げ、ラブホテルに泊まる
- 折り鶴で作った桜の木のオブジェを蹴り倒し、そこへ来たたとえと話す
- 卒業式の前、教室で美雪の手紙を読む
- 美雪の教室へ走り、「また一緒に寝ようね」とささやく
折り鶴をほどき、美雪の手紙を読む
卒業式を目前にした教室で、愛は折り鶴をほどいて一枚の紙に戻します。そして、机の中にあった美雪の手紙を読みます。
この手紙は、映画の冒頭で美雪が愛の机に入れたものです。小説にはない、映画だけの仕掛けでした。
美雪の教室で「また一緒に寝ようね」
手紙を読んだ愛は突然立ち上がり、教室を飛び出します。美雪の教室へ走り、耳元で「また一緒に寝ようね」とささやきました。
映画は、その場面で終わります。台詞そのものは、小説にも出てくる言葉です。
この台詞は、首藤凜監督の過去の作品と同じ題名でもあります。その作品『また一緒に寝ようね』は、ぴあフィルムフェスティバル2016で映画ファン賞と審査員特別賞を受けました。
原作と映画の違い(結末・電車の場面・折り鶴)
いちばん大きな違いは結末です。小説は電車の場面で終わり、映画は電車の場面がないまま美雪の教室で終わります。
| 場面 | 小説 | 映画 |
|---|---|---|
| 物語の始まり | 愛が高校1年の体育祭を思い出す | 美雪が愛の机に手紙を入れる |
| 折り鶴をほどく | ラストの電車の中 | 手紙を読む前の教室 |
| 桜の木のオブジェ | 出てこない | 折り鶴で作ったオブジェを愛が蹴り倒す |
| 電車の場面 | あり(ラスト) | なし |
| 最後の場面 | 電車で「ひらいて」とつぶやく | 美雪の教室で「また一緒に寝ようね」とささやく |
美雪に「また一緒に寝ようね」と告げる場面は、小説と映画の両方にあります。小説はその先に電車の場面が続き、映画はそこで終わります。
折り鶴をほどく場面も両方にありますが、置かれた位置が違います。映画では、手紙を読む直前の教室に移っています。
映画のキャスト・監督・主題歌(山田杏奈・作間龍斗・芋生悠)
映画の主演は、木村愛を演じた山田杏奈さんです。監督・脚本は首藤凜さん、主題歌は大森靖子さんの「ひらいて」でした。
本予告に、結末の場面は出てきません。
キャスト
| 役名 | 俳優 |
|---|---|
| 木村愛 | 山田杏奈 |
| 西村たとえ | 作間龍斗 |
| 新藤美雪 | 芋生悠 |
| 木村頼子(愛の母) | 板谷由夏 |
| 新藤泉(美雪の母) | 田中美佐子 |
| 西村崇(たとえの父) | 萩原聖人 |
ほかに、次の俳優も出演しています。
- 鈴木美羽
- 田中偉登
- 山本浩司
- 河井青葉
- 木下あかり
作間龍斗さんにとって、本作は初めての本格的な映画出演でした。
監督・スタッフと主題歌
監督・脚本・編集は首藤凜さんです。17歳の冬に原作を初めて読んでから、この映画を撮るために生きてきたと語っています。
- 音楽:岩代太郎
- 撮影:岩永洋
- 主題歌:大森靖子「ひらいて」
- 配給:ショウゲート
- 上映時間:121分(PG12)
ひらいてはどこで見られる?読める?
映画は2026年10月時点で、3つの動画配信サービスで見られます。小説は新潮文庫と電子書籍で読めます。
映画の配信
2026年10月時点の配信先は次の3つです。
- Prime Video(レンタル)
- Apple TV
- FOD
料金や見放題・レンタルの別は、映画.comの『ひらいて』配信ページで確かめられます。
Blu-ray・DVD
映画のBlu-rayとDVDは、2022年4月13日に発売されました。
小説を読むなら
小説は新潮文庫の1冊で完結していて、電子書籍版も出ています。冒頭は新潮社の試し読みページで読めます。
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ひらいてに関するよくある質問(FAQ)
Q1. ひらいてのたとえは誰が好きなの?
A. たとえがひそかに付き合っているのは、手紙をやりとりしていた美雪です。小説のラストでは、そのたとえが愛にも、東京へ一緒に来るよう告げます。
Q2. ラストの「ひらいて」にはどんな意味がある?
A. 小説の最後、愛は電車で折り鶴をほどき、題名と同じ「ひらいて」をつぶやきます。意味は作中で説明されず、受け取り方は読む人によって分かれます。
Q3. 映画は原作と結末が違う?
A. 違います。映画には小説のラストの電車の場面がなく、愛が美雪の教室で「また一緒に寝ようね」とささやいて終わります。
Q4. 映画のラストが意味不明と言われるのはなぜ?
A. 映画は、愛が美雪にささやいた場面で終わります。台詞の意味を説明する場面がなく、挑発なのか愛情なのか、受け取り方が分かれるラストです。
Q5. ひらいては何巻まである?
A. 小説『ひらいて』は1冊で完結していて、続編はありません。新潮文庫版は192ページです。
ひらいてのネタバレまとめ
小説『ひらいて』は、たとえに片思いする愛が美雪に近づき、最後は電車で「ひらいて」とつぶやいて終わる物語です。
- 愛はたとえの秘密の恋人・美雪に、気持ちを隠して近づく
- 小説のラストで、たとえは愛に東京へ一緒に来るよう告げる
- 愛は美雪に「また一緒に寝ようね」と告げ、電車に乗る
- 電車で折り鶴をほどき、「ひらいて」とつぶやいて物語が終わる
- 映画は電車の場面がなく、美雪の教室でのささやきで終わる
- 映画は2026年10月時点でPrime Videoなどで配信されている

