キルアの心臓を抜くシーンは何話？アニメや原作の描写を考察

大人気作品『ハンターハンター』の中でも、特にファンの脳裏に焼き付いているのが、キルアが敵の心臓をとる衝撃的なシーンです。主人公の一人であるキルアの、暗殺者としての一面が初めて明かされたこの場面について、原作やアニメで一体何話に描かれているのか、そしてキルアが放った印象的なセリフに込められた深い意味について、気になっている方も多いのではないでしょうか。また、宿敵ジョネスとの対決の詳細や、この名シーンを再現したフィギュアの存在、さらには物語全体における意味合いまで、多角的な考察を求める声も少なくありません。この記事では、キルアの心臓を巡る物語の全てを、あらゆる角度から徹底的に解説していきます。

キルアが心臓を抜く！衝撃シーンを完全解説

標的となった解体屋ジョネスとは

キルアの圧倒的な実力と底知れない闇を世に知らしめた、あの衝撃的なシーン。その標的となったのは、「解体屋（バラシや）ジョネス」という異名を持つ、ザバン市犯罪史上最悪と称される殺人鬼です。

彼はハンター試験第3次試験の舞台、トリックタワーの最終関門で、ゴンたちの前に立ちはだかりました。判明しているだけで146人を殺害し、懲役968年という絶望的な刑期を科せられた長期刑囚です。その「解体屋」という異名は、犠牲者を全て素手で50以上の部位に解体するという、残忍極まりない犯行手口に由来します。

他の囚人たちが刑期短縮に色めき立つ中、ジョネスはただ純粋な破壊衝動と殺戮の快楽を求めていました。いわば、一般的な犯罪者の尺度では測れない「怪物」として描かれています。このジョネスの圧倒的な凶悪さこそが、次の瞬間に起こる出来事の衝撃度を極限まで高める、重要な装置となっているのです。

一瞬で心臓をとるキルアの暗殺術

対決の火蓋が切られ、ジョネスがその怪力を誇示するように襲いかかった、まさにその瞬間でした。読者や視聴者の誰もが固唾をのんで見守る中、勝負は一瞬で決着します。

次の瞬間、キルアは静かにジョネスの背後に立っており、その手には、まだ脈打つ心臓が握られていました。あまりにも速く、そして静かな決着に、何が起こったのかをすぐには理解できないほどです。

この出来事の後、キルアはジョネスを「大量殺人鬼といっても所詮はアマチュア」と一蹴します。これは単なる強がりではありません。ジョネスの暴力がサディスティックな「快楽」に基づくものであるのに対し、キルアの行為は一切の無駄を排した暗殺一家の「技術」です。
このシーンは、ゾルディック家という存在が、単なる殺人者の集団ではなく、死を芸術の域にまで高めたプロフェッショナルであることを、読者に強烈に印象付けました。

原作漫画とアニメでは何話で見れる？

この伝説的なシーンをもう一度見返したい、という方も多いでしょう。ここでは、各メディアで該当シーンが描かれている話数をまとめました。

視聴するメディアによって、雰囲気や表現が少しずつ異なりますので、見比べてみるのも一興です。

特にアニメは、1999年版（日本アニメーション制作）と2011年版（マッドハウス制作）で、作風や描写の方向性が大きく異なります。それぞれの違いについては、次の見出しで詳しく解説します。

新旧アニメでのグロテスク表現の違い

前述の通り、キルアの心臓抜きシーンは、二度にわたるアニメ化でその表現に大きな違いが見られます。これはファンの間でも長らく議論の的となっており、それぞれのバージョンに根強いファンが存在します。

1999年版：ダークで原作に忠実な描写

1999年に放送された日本アニメーション版は、全体的にダークで重厚な雰囲気が特徴です。このシーンにおいても原作の描写に非常に忠実で、キルアがジョネスの胸から直接心臓を抜き取る暴力性や恐怖感が、ほぼそのまま映像化されています。薄暗い色彩と相まって、生々しい恐怖を感じさせる演出は、今なお高く評価されています。

2011年版：ゴア表現が抑制されたマイルドな描写

一方、2011年に放送されたマッドハウス版では、時代の変化や放送コードへの配慮からか、ゴア表現が大幅に抑制されました。具体的には、キルアはジョネスの服の上から手を突き通し、心臓が服の布に包まれたような状態で抜き取られます。これにより、傷口や臓器が直接的に映ることは避けられました。

この変更は、ファンから「服ごと心臓を抜く」と表現され、原作の衝撃が薄れたと惜しむ声がある一方で、より幅広い視聴者層に受け入れられるための工夫と見ることもできます。どちらが良いというわけではなく、制作された時代の違いを象徴する事例と言えるでしょう。

原作のショッキングな描写も紹介

アニメ版での表現の違いについて解説しましたが、やはり最も直接的でショッキングな描写がなされているのは、冨樫義博先生による原作漫画です。

原作では、キルアの手がジョネスの胸を貫き、取り出した心臓が手のひらの上で「ドクドク」と脈打つ様子が、一切のフィルターなしに克明に描かれています。そして、キルアはその心臓を無慈悲に握り潰してしまうのです。

この一連の流れは、キルアの行為の効率性と冷徹さ、そして彼の持つ殺しの技術の異常性をダイレクトに読者に伝えます。アニメ版では倫理的な配慮から緩和された部分も含めて、作者が本来表現したかったであろう衝撃を味わいたい方は、ぜひ原作漫画を手に取ってみることをおすすめします。

「オヤジはもっと」のセリフが示す闇

このシーンを単なる残虐な場面から、深いキャラクター分析の対象へと昇華させているのが、キルアが放つ一言のセリフです。

ジョネスを殺害した後、キルアは自らの血に濡れた手を見つめ、静かにこう呟きます。

この短いセリフには、ゾルディック家という異常な環境で育ったキルアの心理が凝縮されています。

「盗む」という言葉選び

まず注目すべきは、「取る」や「抜く」ではなく「盗む」という動詞を使っている点です。これは殺人を単なる暴力行為ではなく、繊細な技術を要する「仕事」として捉えていることを示唆しています。

父親という絶対的な基準

次に、「オヤジはもっとうまく」と、即座に父親であるシルバを基準に比較している点です。キルアにとっての成功とは、単に敵を倒すことではなく、父が成し遂げるという「一滴の血も流さぬ完璧な仕事」なのです。

このセリフは自身の力を誇示するものではなく、むしろ血を流してしまった自らの技術に対する自己批判であり、失望の念すら感じられます。この一言から、彼がどれほど異常な価値観とプレッシャーの中で生きてきたかが痛いほど伝わってきます。

キルアの心臓描写から読み解く闇と成長

シーンの深層と今後の伏線を考察

キルアがジョネスの心臓を抜いたシーンは、単なる衝撃的な見せ場ではありません。これは、キルアというキャラクターが歩む、長く険しい旅路の「原点」として機能しています。

この瞬間に、彼の持つ闇の「基準点」が設定されました。彼の本質には、この冷酷な行為を躊躇なく行える自分がいる。その後の物語は、全てこの基準点から離れようとする、キルアの心の闘いの記録と言っても過言ではありません。

例えば、後にキルアが自らの頭から兄イルミの「針」を抜き去るシーンがあります。あの針は、キルアを「安全な道を選べ」と縛り付ける呪いでしたが、同時にジョネス殺害のような行為を可能にしていた命令系統でもありました。針を抜く行為は、この暗殺者としての自分と決別し、友人であるゴンを守るためにリスクを冒すという、彼の成長を象徴する儀式だったのです。

ゴンとの友情がもたらした変化

ファンの間では、「もしゴンがジョネスと戦っていたら？」という思考実験がしばしば語られます。結論は、ほぼ間違いなくゴンの惨敗だったでしょう。当時のゴンには、他者を殺してでも目的を達成するという「殺意」を伴う発想が決定的に欠けていました。

一方で、キルアの存在意義は、まさにその殺意の技術に基づいています。この二人には、埋めがたい思想的な溝があるのです。

海外製の心臓を持つフィギュアも存在

このシーンの絶大なインパクトは、フィギュアという立体造形の世界にも影響を与えています。しかし、その市場は少し特殊な状況になっています。

まず、BANDAI SPIRITSやグッドスマイルカンパニーといった大手メーカーから公式に販売されるフィギュアでは、この過激な心臓抜きシーンが直接的に再現されることはほとんどありません。ヨーヨーを構えた姿や、念能力「神速（カンムル）」を発動した姿が中心です。

その一方で、この「心臓抜き」シーンを忠実に、そして無修正で再現した非正規の高級レジンスタチューの市場が、海外のスタジオを中心に活発に存在しています。これらの製品は非常に高価で精巧に作られており、原作の最も過激な瞬間をありのままの形で手元に置きたいと願う、熱心なファン層の需要に応えています。

これらの海外製フィギュアは、ライセンス許諾を受けていない非公式品（ガレージキット）であることがほとんどです。購入を検討する際は、その点を十分に理解した上で、自己責任で行う必要があります。

ハンターハンター全巻をお得に読む方法

この記事を読んで、改めて『ハンターハンター』を読み返したくなった方も多いのではないでしょうか。特に、アニメではマイルドに表現された原作の衝撃シーンを確かめたい方には、電子書籍がおすすめです。

数ある電子書籍サービスの中でも、特におすすめなのが「コミックシーモア」です。

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まとめ：キルアの心臓シーンの魅力とは

今回は、『ハンターハンター』におけるキルアの心臓を抜く名シーンについて、多角的に解説しました。

このシーンは、単に衝撃的で残酷なだけでなく、キルアのキャラクター性、ゾルディック家の異常性、そして後の物語における彼の成長の原点として、非常に重要な意味を持っています。物理的な心臓を簡単に「盗む」ことができるキルアが、ゴンとの出会いを通じて比喩的な意味での「心」を獲得していく、その壮大な物語の出発点なのです。