やめられない娘と見守れない私 4歳の性に悩んだ700日間(バンブーコミックス)
「やめられない娘と見守れない私」は、加藤かとさんが友人の体験を取材して描いた、全1巻完結のコミックエッセイです。4歳の娘の行動をきっかけに、幼児の性という言葉にしにくい悩みへ正面から向き合った一冊です。
私自身も読んでいて、すぐには言語化できない重さと、それでも最後に残るあたたかさの両方を感じました。母親の気持ちがどう変わり、700日の記録がどこへ着地するのかは、読み進めて初めて見えてきます。
記事のポイント
- 作者や出版社、全1巻完結までの基本情報がわかる
- 4歳の娘の性に母が悩んだ700日間のあらすじをつかめる
- 専門家への相談を経て親子関係が変化していく結末を理解できる
- 賛否や読者の受け止め、コミックシーモアで読む方法がわかる
やめられない娘と見守れない私のネタバレとあらすじ
本作は、4歳の娘の性に悩んだ母親Yさんの700日間を描いたコミックエッセイです。

作品情報|作者と全1巻完結
『やめられない娘と見守れない私 4歳の性に悩んだ700日間』は、加藤かとさんによる全1巻完結のコミックエッセイです。これ一冊で物語を最後まで読み切れます。
1冊で完結するので、紙で手元に置くならこの本だけで足ります。
やめられない娘と見守れない私 4歳の性に悩んだ700日間(すくパラセレクション)
Yさん親子の700日を最後まで収めた全1巻のコミックエッセイ。
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出版社は竹書房、レーベルはバンブーコミックス すくパラセレクションで、2022年7月21日に発売されました。ページ数は143ページ、ISBNは978-4-8019-3201-2です。
この作品は作者である加藤かとさん自身の子育て体験ではありません。友人のYさんが実際に経験したことを、加藤さんが取材し、Yさんに代わって漫画にした作品です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | やめられない娘と見守れない私 4歳の性に悩んだ700日間 |
| 著者 | 加藤かと |
| 出版社 | 竹書房(バンブーコミックス すくパラセレクション) |
| 発売日 | 2022年7月21日 |
| 巻数 | 全1巻(完結) |
| ジャンル | コミックエッセイ(取材にもとづく実話系) |
この物語は、もともと加藤さんがご自身のブログで、友人の体験談として描いていたものです。その後いったん取り下げ、内容をすべて描き直して育児系のWEBマガジンで連載しました。
連載中から大きな反響を呼び、竹書房の担当編集者によって書籍化が決まりました。作品は「2020年秋冬すくパラトリプル総選挙」で大賞を受賞しています。
あらすじ|4歳の性に悩む700日
4歳の娘の行動をきっかけに、母親が我が子への嫌悪感と自己嫌悪のあいだで葛藤する700日の物語です。作品の紹介文は「自慰行為にふける4歳の娘。嫌悪してしまう自分がいやだ……幼すぎる性の目覚めに母は葛藤する」です。
ここで言う娘さんの行動は、いわゆる幼児期の自己刺激(性的自慰)を指しています。ただ、これは大人が想像するような「性的な意味」を持つものとは異なります(詳しくは後半の補足で触れます)。
物語の主人公は、Yさんと呼ばれる30代の母親です。ある日、Yさんは長女のAちゃん(4歳)の自己刺激の行為に気づきます。
最初は戸惑い、やめさせようとしますが、思うようにはいきません。次第にYさんの心には、我が子に抱いてしまう嫌悪感と、そんな自分への自己嫌悪が、少しずつ積み重なっていきます。
タイトルにある「700日」という数字が示すとおり、この葛藤は一日二日で解決するものではありませんでした。Yさんが長い時間をかけて、我が子と自分自身の気持ちにどう向き合っていったのか——その記録がこの一冊に描かれています。
読んでいて胸が締めつけられる場面も多くあります。それでも単なる悩みの吐露で終わらず、ちゃんと「その後」まで描かれているのが、この作品の誠実なところだと感じました。
登場人物と家族の状況
物語の軸は、母親のYさんと長女のAちゃん(4歳)の母娘の関係です。実在のご家族のプライバシーに配慮して、作中では次の表のような呼称が使われています。
| 人物 | 立場 | 特徴 |
|---|---|---|
| Yさん | 母親(主人公) | 30代。長女の行動に気づき、嫌悪感と自己嫌悪のあいだで葛藤する |
| Aちゃん | 長女(4歳) | 自己刺激の行為を繰り返す。物語の中心となる存在 |
| 夫(主人) | Yさんの配偶者 | 作中に登場するが、詳しい設定は公にされていない |
| 保健師 | 相談先の専門家 | 育児相談を通じてYさんに具体的な助言をする |
夫も作中に登場しますが、職業や育児への関わり方といった細かな設定は明かされていません。
そしてもう一人、物語の後半で大きな役割を果たすのが、育児相談の場で出会う保健師さんです。この方の助言が、Yさんと娘さんの関係を変えていく転機になります。具体的にどんな言葉がYさんを支えたのかは、後半の結末のパートで触れていきますね。
娘の行動と母の葛藤
ここから先は、物語の心情や展開に踏み込む内容を含みます。まっさらな状態で本編を読みたい方は、この見出しを飛ばして先へ進んでくださいね。
Yさんがいちばん苦しんだのは、娘さんの行動そのものよりも、それに対して自分が抱いてしまう感情だったように読めます。やめさせようとしても、状況は改善しません。
Yさんは次第に、Aちゃんを心から愛おしいと思えなくなっていく自分に気づいてしまいます。抱きしめようとしても、素直な気持ちになれません。深い嫌悪感と、それを抱く自分への罪悪感のあいだで、Yさんは強く追い詰められていきます。
この作品が切り込んでいるのは、「子どもにネガティブな感情を抱いてしまう」という、なかなか語られてこなかったテーマです。多くの人が「母親なら我が子を無条件に愛せて当たり前」と考えがちです。
ただ、現実の子育ては、そんなにきれいごとばかりではありません。予想外のことに直面して、自分を責めたり、我が子にネガティブな感情を抱いてしまったりすることも起こり得ます。
その言いづらい本音を可視化したところに、この作品の価値があるのだと感じます。
やめられない娘と見守れない私のネタバレ考察と結末
700日の記録は、育児相談の場で出会った保健師さんの助言をきっかけに動き出します。
700日の記録の結末
この見出しには物語の結末に関わる内容が含まれます。結末を知りたくない方は、次の見出しまで読み飛ばしてくださいね。
結末では、Yさんが抱えていた「気持ち悪い」という感情はなくなり、母娘が互いに愛情を感じられる関係へと回復していきます。
追い詰められていたYさんにとって、転機になったのは育児相談の場でした。相談先の保健師さんが、次のような具体的な助言をしてくれたのです。
- 娘さんが行為をしてしまっているときにこそ抱きしめる
- 日々のスキンシップを意識して増やす
- 寝る前に「好きだよ」と言葉で伝える
Yさんは半信半疑のまま、それでもこの助言を実践していきます。
作中では、最初のうちYさんが「好き」を本心からではなく、半ば嘘のように口にしていたことも隠さず描かれます。それでも続けるうちに、少しずつ変化が訪れます。
「この子はまだ小さな子どもなんだ」という当たり前の感覚が、Yさんのなかに戻ってきたのです。赤ちゃんの頃に感じていた愛おしさを思い出し、娘さんを抱きしめることへの抵抗が、時間をかけて和らいでいきました。
同時にYさんは、娘さんのプライバシーを尊重するようになります。部屋に入る前にノックをするなど、一人の人格として接する配慮も心がけるようになりました。
文春オンラインのインタビュー記事も、本作を「本作なりの答え」が用意された、紛れもなく親子愛を描いた物語と結んでいます。重いテーマを扱いながらも、最後にはあたたかい着地点にたどり着く——そこがこの一冊の救いだと私は思いました。
専門家に相談してどうなったか
保健師さんに相談したことが、Yさんの状況を動かしました。私がこの作品でとくに大切だと感じたのは、Yさんが一人で抱え込まずに相談した、という点です。
追い詰められていたYさんには、第三者に打ち明けられる場と具体的なアドバイスが、大きな支えになったのだろうと感じます。
作者の加藤かとさんは、これはあくまでYさんという一つのケースだと強調しています。すべての家庭に同じ方法が当てはまるわけではないという立場です。
あわせて、同じように悩む場合は無理をせず、心療内科やカウンセリングといった専門家に相談することも大切だと伝えています。この「一例にすぎない」という留保こそ、デリケートなテーマを扱ううえでとても誠実な姿勢だと感じました。
作中では、娘さんの行動の背景を「愛情やスキンシップの不足からくる寂しさの表れだったのではないか」と振り返っています。ただ、これはYさんのケースにおける一つの解釈であって、作品が「これが唯一の原因だ」と断定しているわけではありません。
読者の共感と評価
本作への評価は、共感と懸念に分かれています。書籍化にあたっても、「母親がこんなに我が子を嫌がるなんて、ある意味虐待ではないか」という否定的な意見がありました。担当編集者が、インタビューで率直に認めています。
それでもあえてこのテーマに取り組んだのは、子育て中の親の気持ちをそっと掬い上げたいという思いからだったそうです。自分を追い詰めたり、我が子にネガティブな感情を抱いてしまったりする親の気持ちです。
コミックシーモアなどに寄せられた読者のレビューには、次のような声があります。
- 評価する声:「育児相談って本当に大事なんだと気づかされた」
- 評価する声:「言いづらい親の悩みを可視化してくれた」
- 懸念の声:「娘さんが将来これを知ったときの気持ちが心配」
- 懸念の声:「友人の体験談を漫画にすることのプライバシー面が気になる」
どちらの受け止めも真っ当で、簡単にどちらが正しいと言えるものではないと思います。
こうした賛否が生まれること自体が、この作品が触れにくいテーマに正面から向き合った証だと感じます。読む人の立場や経験によって、受け取り方が大きく変わる作品です。
コミックシーモアで読む方法
『やめられない娘と見守れない私 4歳の性に悩んだ700日間』は、電子書籍サービスのコミックシーモアで配信されています。全1巻で完結しているので、スマホやタブレットがあれば、この一冊で700日の記録を最後まで読み切れます。
テーマがテーマだけに、紙の本を人目のある場所で読むのは気が引けるかもしれません。電子書籍なら手元だけで読めるので、その点でも安心です。
コミックシーモアには試し読みの機能もあります。いきなり購入するのが不安なら、まず冒頭だけ読んで、自分に合いそうか確かめるのがおすすめです。
Yさんの葛藤にどこまで踏み込んで描かれているのか、その空気感を先に確かめておくと、読むかどうか決めやすくなります。
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まとめ|やめられない娘と見守れない私のネタバレ
『やめられない娘と見守れない私』は、全1巻で完結したコミックエッセイです。4歳の娘の性に悩んだ母親が、700日かけて我が子との関係を取り戻すまでが描かれています。
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幼児の性という、人には相談しづらいテーマを扱いながら、最後には親子愛にたどり着く作品です。同じように子育てで自分を責めてしまった経験のある方には、静かに寄り添ってくれる一冊になり得ると思います。
お子さんの様子で気になることがあれば、最終的な判断は小児科医やカウンセラーといった専門家にご相談ください。

