「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ」。大学生の筧井雅也のもとに、連続殺人鬼の榛村大和からそんな手紙が届きます。
『死刑にいたる病』は、櫛木理宇の小説と2022年の白石和彌監督の映画で、ラストの見せ方が違います。
記事のポイント
- 小説と映画はラストの見せ方が違う
- 映画には原作に無いスカッシュの場面がある
- 櫛木理宇が小説で省いた部分を映画が描いている
- 原作の旧題は『チェインドッグ』
死刑にいたる病のネタバレ|手紙から冤罪の真相まで
ここから先は、小説と映画の真相と結末に触れます。
雅也の調査は、榛村の依頼そのものを疑うところへ行き着きます。真相の大筋は小説も映画も同じで、大きく違うのはラストです。

どんな話か|死刑囚から大学生に届いた手紙
『死刑にいたる病』は、櫛木理宇の同名小説を白石和彌監督が映画化したサイコサスペンスです。あらすじは、連続殺人鬼から大学生へ届く1通の手紙から始まります。
小説と映画の基本情報
| 項目 | 小説 | 映画 |
|---|---|---|
| 作り手 | 櫛木理宇 | 監督 白石和彌・脚本 高田亮 |
| 刊行・公開 | 2017年10月19日 | 2022年5月6日 |
| レーベル・配給 | ハヤカワ文庫JA | クロックワークス |
| 長さ | 368ページ | 129分 |
映画の興行収入は、2022年6月22日までに10億円を超えました。榛村を演じた阿部サダヲは、第46回日本アカデミー賞の優秀主演男優賞に選ばれています。
小説の雅也は志望校に届かなかった大学生
小説の第一章で、雅也は自分の大学を”Fラン大学”だと見下しています。本来の志望は国立大学で、三年次編入も考えましたが、祖母から父に知られるのを恐れて諦めました。
小中学校では文句なしの優等生だった雅也も、いまは大学でひとりぼっちです。口うるさく支配的な父のことは、幼い頃から苦手でした。
小説の雅也がその大学で再会するのが、かつてのクラスメイト・加納灯里です。
手紙の送り主は元パン屋の店主
小説でも映画でも、手紙の送り主の榛村は、かつて雅也が信頼していたパン屋の店主です。榛村の頼みは、最後の1件だけは冤罪だと証明してほしいというものでした。
登場人物とキャスト|榛村と雅也を取り巻く人たち
中心は榛村と雅也で、そこへ謎の男・金山一輝と灯里が絡みます。映画の配役は次のとおりです。
| 人物 | キャスト | 役どころ |
|---|---|---|
| 榛村大和(はいむら やまと) | 阿部サダヲ | 連続殺人鬼。パン屋の元店主 |
| 筧井雅也(かけい まさや) | 岡田健史(現・水上恒司) | 榛村の依頼を受ける大学生 |
| 加納灯里 | 宮﨑優 | 雅也の元同級生で、同じ大学に通う |
| 金山一輝 | 岩田剛典 | 謎の男 |
| 筧井衿子 | 中山美穂 | 雅也の母 |
| 根津かおる | 佐藤玲 | 榛村が冤罪だと訴える事件の被害者 |
雅也の調査と榛村の揺さぶり
雅也は榛村と面会を重ねながら事件を調べ、少しずつ榛村に引き込まれていきます。
面会室の依頼から始まる調査
映画の榛村は面会室で雅也と向き合い、最後の事件の調査を頼みます。映画で榛村が冤罪だと訴える9件目の事件の被害者は、根津かおるです。
雅也は榛村を父親だと思い込む
小説でも映画でも、雅也は榛村が自分の父親かもしれないと考えるようになります。雅也の母・衿子と榛村は、かつて同じ女性の養子でした。
映画の雅也は一線を越えかける
映画の雅也は、通りすがりの会社員に暴力をふるい、殺しかけるところまで行きます。途中で我に返って踏みとどまりますが、榛村の影響が表に出た場面です。
犯人は榛村|冤罪の依頼の真相
小説でも映画でも、連続殺人の犯人は榛村です。冤罪だと訴えた最後の事件は、小説では榛村の犯行として明かされ、映画の雅也も同じ答えにたどり着きます。
最後の事件も冤罪ではなかった
小説では、冤罪だと訴えた事件も榛村の犯行でした。映画の雅也も、調査の末に榛村の犯行だと見抜きます。
小説の榛村にとって、冤罪の依頼は雅也を操る遊びの一つでした。
小説の手紙は雅也だけのものではない
小説の榛村は、かつて目をつけた相手に大量の手紙を書いていました。雅也は、その手紙を受け取った一人にすぎません。
榛村は雅也の父親ではない
榛村は雅也の実の父親ではありません。小説でも映画でも、雅也の思い込みです。
金山も榛村の過去の獲物
小説でも映画でも、金山は真犯人ではなく、榛村の過去の獲物でした。岩田剛典が演じた映画の金山は、多くを語らない役です。
逃げた子は映画では明かされない
映画の榛村が捕まったきっかけは、連れ去った少女に逃げられたことでした。その少女が誰なのかは、映画の中で明かされません。
ラストの灯里と結びつけたくなりますが、灯里がその少女だとは語られません。
死刑にいたる病のネタバレ考察|原作と映画の結末の違い
小説と映画のいちばんの違いはラストです。同じ真相のあとに、それぞれ別の形で榛村の影を残して終わります。

映画のラスト|最後の女は加納灯里
映画の最後に不穏な言葉を残すのは、加納灯里です。事件が片づいたあとの場面で、物語の印象が一変します。
爪の話から手紙がこぼれる場面まで
映画の最後の場面で、灯里は爪の話から「剥がしたくなる?」と問いかけます。
灯里のカバンからは、榛村からの手紙がこぼれ落ちます。灯里は、好きな人の一部を持っていたい気持ちは分かると口にします。映画はここで終わります。
映画の榛村は、被害者の爪を集めていた連続殺人鬼です。灯里の言葉は、その榛村と重なります。
ラストの意味|灯里が何をするかは描かれない
映画は、灯里がこのあと何をするのかを描かずに終わります。灯里も榛村の影響を受けていることだけを見せて、幕を下ろします。
雅也のいちばん身近な灯里まで、榛村とつながっていたと分かる終わり方です。
小説のラスト|灯里にも届いていた榛村の手紙
小説の雅也は榛村の支配から抜け出し、灯里と恋人になります。ただし小説の灯里にも、榛村の手紙が届いていました。
雅也は真相を知って榛村から離れる
小説の雅也は真相を知り、榛村の支配から抜け出します。灯里とは恋人同士になり、一度は救いのある終わり方に見えます。
灯里の恋の裏にあった榛村の助言
小説の灯里は、雅也に近づくために榛村の助言を受けていました。最後に、灯里も榛村と手紙をやり取りする相手の一人だと分かります。
映画のように、灯里の爪の話で終わるわけではありません。
原作と映画の違い|ラスト以外の変更点
映画はラストのほかに、榛村の見た目や話の組み立ても小説から変えています。
| 項目 | 小説 | 映画 |
|---|---|---|
| ラスト | 灯里と榛村のつながりが最後に分かる | 灯里の言葉で不穏に終わる |
| 榛村の見た目 | 美男子 | 阿部サダヲが演じる人当たりのいい店主 |
| 話の中心 | 雅也の聞き込みと心理描写 | 面会室のやり取り |
| 榛村の過去 | 語られる | 時間を割いていない |
| 獲物への近づき方 | 省いている | 描いている |
| スカッシュの場面 | 無い | ある |
白石監督が語った映画の工夫
白石監督は、雅也の部分に青春ミステリの感じを出すため、原作に無いスカッシュの場面を入れました。榛村の過去には時間を割けないと考え、いま起きていることを中心に組み立てています。
映画は面会室の場面が、かなりの時間を占めています。
櫛木理宇が語った小説との違い
櫛木理宇は、榛村が獲物に近づいて仲良くなるところを小説では飛ばしたと話しています。映画は、その部分を描きました。
小説は、動きが無くても心理描写の積み重ねで話が進みます。櫛木は映画について、ラストにどんでん返しがあるとも話しています。
原作小説|実話かどうかと旧題
『死刑にいたる病』は小説として書かれた創作で、実話ではありません。旧題は『チェインドッグ』です。
榛村は作者が作り上げた連続殺人鬼
櫛木理宇は榛村を、いろいろなシリアルキラーの要素が少しずつ集まったキャラクターだと語っています。櫛木はデビュー前に、シリアルキラーのサイトを10年ほど運営していました。
旧題『チェインドッグ』から今の題名へ
小説は2015年に『チェインドッグ』として刊行され、2017年の文庫化で『死刑にいたる病』に改題されました。
巻頭には、キェルケゴールの「絶望とは死にいたる病である。」という言葉が置かれています。プロローグでは名前の書かれない人影が、過去に何かを選んだことを悔やんでいます。
映画の本予告と配信サービス
映画『死刑にいたる病』は、2022年5月6日に公開されました。本予告は、配給クロックワークスの動画チャンネルのものです。
映画はU-NEXTで見放題
映画はU-NEXTで見放題です(2026年11月時点)。
映画の区分はPG12|グロいシーンが心配な人へ
映画の区分はPG12です。R15+の指定は付いていません。
映画の公式サイトと公式X
映画の公式の窓口は、次の2つです。
原作の小説を読むなら
原作はハヤカワ文庫JAの『死刑にいたる病』です。早川書房のオンラインショップには、旧題の『チェインドッグ』の電子書籍版もあります(2026年11月時点)。
原作の文庫はこちらです。
死刑にいたる病に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 『死刑にいたる病』の犯人は誰ですか?
A. 小説でも映画でも、連続殺人の犯人は榛村大和です。冤罪だと訴えた最後の事件も、小説では榛村の犯行です。映画で9件目とされるその事件も、雅也は榛村の犯行だと見抜きます。
Q2. 映画の最後の女(灯里)は何者ですか?
A. 雅也と同じ大学に通う加納灯里です。映画の最後の場面で、灯里のカバンから榛村の手紙がこぼれ落ちます。
Q3. 榛村から逃げた子は誰ですか?
A. 映画では明かされません。灯里がその少女だとも語られません。
Q4. 『死刑にいたる病』は実話ですか?
A. 実話ではなく、小説として書かれた創作です。櫛木理宇は榛村を、いろいろなシリアルキラーの要素が集まったキャラクターだと語っています。
Q5. 映画はどこで見られますか?
A. U-NEXTで見放題です(2026年11月時点)。
まとめ:死刑にいたる病のネタバレと原作の違い
『死刑にいたる病』は、冤罪の依頼から始まり、雅也が榛村の支配に気づくまでを描く物語です。
- 最後の事件は、小説では榛村の犯行で、映画の雅也も同じ答えにたどり着く
- 榛村は雅也の実の父親ではない
- 逃げた子の正体は映画では明かされない
- 映画のラストは灯里の不穏な言葉で終わる
- 小説のラストでは灯里と榛村のつながりが分かる
- 映画にはスカッシュの場面など原作に無い場面がある

